自他ともに認めるリベラル左派。現代アメリカを代表するケインジアンである。ジョージ・W・ブッシュ政権時代には容赦なき批判の急先鋒に立った。バラク・オバマ大統領の誕生を喜ぶが、政治的バランスを取らざるを得ない新政権を強い口調で叱咤激励し、左側に引き寄せる役を買って出る。「金融危機後のアメリカ」は、「ロナルド・レーガンの亡霊」からようやく解放され、少し優しい国になれると期待する。 (聞き手は、ニューヨーク支局長=水野 博泰) クルーグマン:いえ、オバマの経済政策はほぼ正しい方向に向かっています。ただし、もっと強化すべきです。それが私の主張です。 オバマ政権がバカでもなく狂ってもいないことは朗報で、前政権からの大きな進歩です。経済の仕組みについてはそこそこ理解し、何をすべきかも分かっています。ただし、必要な政策の半分しか実行できていない。まあ、これが政治というものですが、やろうとしていることのすべ