悪夢のような「3.11」から、早くも9ヶ月が経った。 福島第一原子力発電所事故に関する東京電力の危機管理についても徐々に全容が明らかになりつつある。 危機が発生したら、初動における迅速な決断と果断な処置がいかに大切であるか、今更ながら痛感される。 他方、「初動における迅速な決断と果断な処置」を採ったとしても、これが後日、人に評価されるとは限らない。危機管理の宿命である。 「迅速な決断と果断な処置」によって、危機が無難に収まると、人々は最悪の事態が発生する可能性が存在したことまで忘却してしまう。このため、往々にして「過剰反応をした」あるいは「不必要なことをした」といった批判が後日出てくるものだ。 仮に今回の原発事故で、早々にベントを実施して圧力を下げ、消火系から海水注入を実施していたら、廃炉にはなっただろうが、放射能漏れの被害はこれほど深刻にはならず、水素爆発も生起せず、事は既に終息に向かっ