ブックマーク / hachiro86.hatenablog.com (18)

  • 【2743冊目】NHKスペシャル取材班『超常現象 科学者たちの挑戦』 - 自治体職員の読書ノート

    超常現象: 科学者たちの挑戦 (新潮文庫) 作者:NHKスペシャル取材班新潮社Amazon 「新潮文庫の100冊2021」全冊読破キャンペーン65冊目。 幽霊に死後の世界。生まれ変わりにスプーン曲げ。透視能力にテレパシー。「超常現象」とか「超能力」といわれるモノには、どこか胡散臭さがつきまとう。 超常現象を扱うテレビ番組の多くがこれまで取ってきたスタンスは、超常現象があるものとして扱うか、完全否定するかのどちらかだった。だが、書の元となったNHKスペシャルは、そのどちらにも与しない。もちろん、生まれ変わりや幽霊についての話を集めたり、科学的な検証を試みたりはしている。だがその最終的な結論は「今のところはわからない」というものなのだ。 この結論は、はっきりいってテレビ受けする結論ではない。観る人の知的水準がもっとも問われるからだ。特に、スポンサーの意向に左右される民放テレビ局ではありえない

    【2743冊目】NHKスペシャル取材班『超常現象 科学者たちの挑戦』 - 自治体職員の読書ノート
  • 【2574冊目】児玉真美『私たちはふつうに老いることができない』 - 自治体職員の読書ノート

    私たちはふつうに老いることができない: 高齢化する障害者家族 作者:児玉 真美 発売日: 2020/05/25 メディア: Kindle版 このタイトルが「刺さる」人は、おそらく障害者の親かその関係者だろう。障害当事者にさえなかなか光が当たらない中、「障害者の親」のことはほとんど無視されていると言ってよい。一方、当事者運動や当事者研究の流れの中では、障害者の親は障害者の自立を阻害する「悪者扱い」さえされることがある。 書はそんな状況に対する異議申し立ての書である。自身も障害者の親である著者の体験と、多くの親へのインタビューを組み合わせて、「障害者の親であること」のリアルを克明に綴る。その世界は、障害者支援に携わった経験のある私でも、正直言って想像を超えるものだった。特に「障害者の母親であること」は、ほとんど「人間を超えること」と同義語であるようだ。 子どもが生まれたばかり、あるいは小さい

    【2574冊目】児玉真美『私たちはふつうに老いることができない』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2020/11/02
    読んだらますます落ち込みそうだけど、読んでみたいです
  • 【2532冊目】佐々涼子『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』 - 自治体職員の読書ノート

    紙つなげ! 彼らがの紙を造っている: 再生・日製紙石巻工場 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:佐々 涼子発売日: 2017/02/09メディア: 文庫 いろんなことを忘れていた。そのことを反省させられる一冊だった。 震災のことを忘れていた。いや、忘れていたつもりはなかったのだが、あの日感じた衝撃と不安が、すっかり身体の中から抜けていた。日製紙石巻工場のなまなましい被災描写に、あらためてそのことを思い出した。あの後も多くの災害が日を襲ってきたが、その中でも東日大震災は、やはりとんでもない、桁外れの「地獄」であった。 紙のことを忘れていた。その手触り、その色合い、その匂い。毎日のように「紙の」を読みながら、その紙を造っている人がどこかにいること、そこにあるのが微妙な色合いや厚みや触感をもった物体であることを忘れていた。この紙がどこで造られたんだろう、などと考えたことは、思え

    【2532冊目】佐々涼子『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2020/08/10
    復興の力と本の力が読んでいない私にも感じられる素晴らしい感想だと思いました。読んでみたいです。
  • 【本以外】選挙事務を終えて - 自治体職員の読書ノート

    たまには雑談的に。選挙のことなど。 この「読書ノート」をお読みの方はご存知だろうが、選挙事務を担っているのは区市町村の職員である。それは国政選挙だろうが、今回のように知事選だろうが同じこと。地方自治法別表の「法定受託事務リスト」を見ていただければ、最初の方に「公職選挙法」が出てくる。ちなみに費用も国持ちだが、最近はだいぶ削られているとか、いないとか。 自治体によっても違うかもしれないが、この選挙事務がなかなかハードなのだ。今回の都知事選で言えば、前日の午前中に半日かけて会場設営。ウチの会場は小学校の体育館なので、土足で入れるよう床にロールを敷いたり、机を並べたりする。埃っぽい体育館の地下倉庫から机を20脚も運び出すと、もう汗だくである。バリアフリーではないので、出入り口の階段にスロープを設置する必要もある。 午後はいったん帰宅(この間に選管のチェックが入る)。翌日は朝4時起床、5時出発。6

    【本以外】選挙事務を終えて - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2020/07/07
    選挙の裏方の方の実際の声、勉強になりました。最初の二人の空き箱確認など。ありがとうございました。
  • 【本以外】コロナ対策雑考メモ - 自治体職員の読書ノート

    早くもというか、ようやくというか、緊急事態宣言が全国で解除された。 日のコロナ対策については、ずっといろいろ思うところがあったのだが、このタイミングでちょっと吐き出しておこうと思う。とはいっても、ロジカルな文章にまとめる気力がないので、徒然なるままにメモを垂れ流すだけだが・・・。 ◆「自粛」について そもそも自粛とは「自分から進んで、行いや態度を慎むこと」(goo辞書)であって、自発性が前提の言葉。なので「自粛を要請」「自粛を求める」などという表現は、日語として気持ち悪い。それは「他粛」である。 百歩譲って「要請に応じた自粛」は自発的なものだとしよう。だがそれは、例えばお店を開くとか、イベントを開催するとか、あるいは単に外出するという「権利」を、自ら制限していることになる。憲法上のタームを使えば「営業の自由」「移動の自由」などの自由権の行使を自発的に制限しているということだ。なおこれら

    【本以外】コロナ対策雑考メモ - 自治体職員の読書ノート
  • 【2499冊目】福島香織『ウイグル人に何が起きているのか』 - 自治体職員の読書ノート

    ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在 (PHP新書) 作者:福島 香織 発売日: 2019/06/19 メディア: 新書 ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺が明らかになったのは、戦争が終わってからだった。もし戦時中からアウシュヴィッツの存在が知られていたら、当時の国際社会はどのように反応しただろうか。 仮定の話、ではない。それに匹敵するすさまじい民族浄化が、今まさに行われているからだ。舞台は中国、新疆ウイグル自治区。そこで遂行されているのは、単なる「民族弾圧」どころではない。書の記述が当であれば、中国はウイグルという民族、文化、伝統のすべてを消滅させようとしているとしか思えない。 無数の監視カメラに警察官。イスラム教徒であるウイグル人に、酒を飲ませ、豚肉をべさせ、イスラム風の服も家屋も変えさせる。それも「笑顔で、自ら進んで」行わせるのである。もし嫌がるそぶりを見せたらど

    AgentScully
    AgentScully 2020/03/19
    ここまでひどいとは。本の中では、この民族浄化を止める方策などにも言及されているのでしょうか。何もできることはないのか…
  • 【2473冊目】松本俊彦『薬物依存症』 - 自治体職員の読書ノート

    薬物依存症 (ちくま新書) 作者:松 俊彦 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/09/06 メディア: 新書 「ダメ、ゼッタイ」を連呼する薬物教育。薬物所持で逮捕された芸能人を声高にバッシングするマスメディア。「薬物依存は犯罪だから、一度でも使ったら逮捕して刑務所に入れるべき」という「識者」の意見……。こうしたものに取り巻かれたわが国は、国民の「生涯の薬物経験率」がわずか2.4パーセントという際立った「低薬物依存国」である。そのこと自体は喜ぶべきであろうが、少数派となった薬物依存症者にとっては、過酷で生きづらい国となってしまっている。 確かに薬物の所持や使用は法律で禁じられている「違法行為」である。だが、だからといって、刑務所や病院に入れて社会から隔離することが効果的な対策となっているかといえば、決してそんなことはない。確かに薬物から隔離された環境で一定期間過ごせば、薬物は

    【2473冊目】松本俊彦『薬物依存症』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2020/01/24
    キッチリ真面目でまともな日本社会の功罪。 一度はみ出したら居場所はない。依存は生まれつきの体質の影響も大きいと遺伝学の本で読んだ。不運な体質に生まれついた人たちなのかも。あまり責めすぎちゃいけない
  • 【2471冊目】葉真中顕『ロスト・ケア』 - 自治体職員の読書ノート

    ロスト・ケア (光文社文庫) 作者:葉真中 顕 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/02/10 メディア: 文庫 デビュー作というのが信じられないほどの、重厚な社会派ミステリー。超高齢社会を迎えた現代の日のありようを、迫真のリアリティで描き出す。 「地獄の底」と形容されるほどの、家族介護の壮絶な実情。精神的にも肉体的にも追いつめられた果てに起きるのが、悲惨な虐待だ。人も生き続けることに絶望し、家族も罪悪感と義務感に引き裂かれながら、それでも介護を続けるしかない現実。そこから人と家族を救うはずの介護保険制度は、度重なる制度改正で事業所の経営が圧迫され、そこで働く人々はギリギリの低賃金で過酷な仕事をこなす。書で描かれる世界は、まぎれもなく今の日の現実そのものだ。 そして、著者はそこからさらに先に踏み出す。そんな「地獄」にいる人たちを救うため、老人を次々と殺す≪彼≫の存在だ

    【2471冊目】葉真中顕『ロスト・ケア』 - 自治体職員の読書ノート
  • 【2467冊目】川北稔『8050問題の深層』 - 自治体職員の読書ノート

    8050問題の深層: 「限界家族」をどう救うか (NHK出版新書) 作者:川北 稔 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: 2019/08/30 メディア: 単行ひきこもり」「8050問題」の現状を、データ、具体例、問題点、解決策にわたり、コンパクトかつバランスよく捉えた一冊。福祉関係者にも、当事者やその家族にも「最初の一冊」としておススメしたい。 言うまでもなく「8050問題」とは、80代の親と50代の(無職だったりひきこもっていたりする)子どもの組み合わせをいう。だがもちろん、問題は今になって生じたわけではない。それまで何年も何十年も家族の中で抱え込んできた問題が、親の高齢化によって限界に達し、外にあらわれざるを得なくなる臨界点が「8050」なのだ。 そもそも、来は子に養われるべき存在である70代、80代の高齢者が、部屋に閉じこもられ、場合によっては暴力を振るわれながら、壮年

    【2467冊目】川北稔『8050問題の深層』 - 自治体職員の読書ノート
  • 【2459冊目】松本俊彦編『「助けて」が言えない』 - 自治体職員の読書ノート

    「助けて」が言えない SOSを出さない人に支援者は何ができるか 作者: 出版社/メーカー: 日評論社 発売日: 2019/07/12 メディア: 単行 今年も残すところあと数日だが、今年の「読書ノート」更新は今日がラストの予定。中止したり再開したりと相変わらず揺れまくった一年でしたが、お付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました。 そんな今年の「最後の一冊」は、とても重い一冊。 日の福祉制度は、基的に申請主義と言われる。その中で、自ら助けを求めない人を支援することは、たいへんに難しい。だからこそ「受援力」なんてことが言われたり、支援者も再三の説得に疲れ果てて「支援を求めないのだから自業自得」などという思いをもってしまったりもする。 書は、依存症、未治療の精神疾患、いじめ、性被害、自殺、ホームレスなど、さまざまな局面における「助けを求めない人」を取り上げて論じた一冊だ。なか

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  • 【2446冊目】エイドリアン・オーウェン『生存する意識』 - 自治体職員の読書ノート

    生存する意識――植物状態の患者と対話する 作者:エイドリアン・オーウェン 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2018/09/19 メディア: 単行 生命維持装置につながれ生きていることはできるが、全く何の反応も示さない、いわゆる植物状態になると、人は、物事を認識することもできない。今までは、そのように考えられてきた。だが、そのうちの一部は、実は完全に意識が保たれ、周囲の様子を見ることも、会話を聞き、理解することもできているとしたら? 最初の気づきは、ケイトという患者にスクリーンセーバーを見せることで得られた。Windowsマークが飛び交う、昔懐かしい「フライングウィンドウズ」というスクリーンセーバーを目の前に置くと、ケイトの脳の視覚野が活気づいたのだ。植物状態であっても、何らかの刺激に脳が反応することが、ここでわかった。だが問題は、それが「意識的な」ものであるかどうか、だ。ケイト

    【2446冊目】エイドリアン・オーウェン『生存する意識』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2019/12/10
    植物人間と言われる状態になった人たちにはちゃんと意識がある人が相当数いる・・・この事実をどうとらえればいいのか。素晴らしいことだけれど、今まで生命維持装置を外されてきた人たちのことを思うと悲し過ぎる。
  • 【2445冊目】ガブリエル・ゼヴィン『書店主フィクリーのものがたり』 - 自治体職員の読書ノート

    書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫) 作者:ガブリエル ゼヴィン 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/12/06 メディア: 文庫 めったに出会えない、珠玉の物語。 を亡くした偏屈な書店主フィクリー、書店に置いていかれた2歳の女の子マヤ、出版社の営業担当のアメリア。この3人を軸に展開する物語は、過去と現在を行きつ戻りつ、人が変わること、変わりうることの驚きを伝えてくれる。 『白鯨』からジェフリー・ディーヴァーまで、至るところに織り込まれたに関するウンチクがなんとも楽しく、が傍にある生活がどういうものかがよくわかる。中でもラスト近く、フィクリーの次の言葉は、すべての読みに向けた福音だと思う。うんうん、当にそのとおりだよね。 「ぼくたちはひとりぼっちではないことを知るために読むんだ。ぼくたちはひとりぼっちだから読むんだ。ぼくたちは読む、そしてぼくたちはひ

    【2445冊目】ガブリエル・ゼヴィン『書店主フィクリーのものがたり』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2019/12/06
    読んでみます、これですよね→『The Storied Life of A. J. Fikry』(https://www.amazon.com/Storied-Life-J-Fikry-Novel/dp/1616204516/) いつもたくさんの書評をありがとうございます。本選びの参考にしています。
  • 【2435冊目】加須屋誠『地獄めぐり』 - 自治体職員の読書ノート

    地獄めぐり (講談社現代新書) 作者: 加須屋誠 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/06/19 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る ひところ「地獄」がテーマの絵がはやったが、古くから「地獄絵」は多くの人に影響を与えてきたと著者は言う。清少納言や西行、後白河法皇、近代では斎藤茂吉に太宰治、寺山修司などが挙げられるというが、そもそも、なぜ地獄絵がそんなに「気になる」のか。 「地獄」を一言で表現するなら、それは「死」のイメージの具現化だ。ひどく残酷かつこれ以上ないくらい明瞭に、現世の行いと死後の報いが結びつく。ちなみに、地獄は地下8階建ての巨大なビルのようになっていて、それぞれの高さは5000由旬(1由旬は約7キロメートル)。最下層の無間地獄は高さ2万由旬だそうである。途方もないスケールだ。 1層目は等活地獄で、殺生の罪を犯した者が行く。ここは亡者同士が敵対し、殺し合う

    【2435冊目】加須屋誠『地獄めぐり』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2019/11/21
    地獄・・・怖い!! でも、「ずいぶんニッチな地獄であるが」のところで笑ってしまった。
  • 【2392冊目】中野信子『脳内麻薬』 - 自治体職員の読書ノート

    脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体 (幻冬舎新書) 作者: 中野信子 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2014/01/30 メディア: 新書 この商品を含むブログ (7件) を見る 「何かを成し遂げ、社会的に評価されて感じる喜び」と「ギャンブルやセックスによる快感」は、実は同じものである。これらはいずれも「ドーパミン」という神経伝達物質の作用なのだ。ドーパミンだけではない。脳内には100種類以上といわれる神経伝達物質が絶えず放出され、そのたびにわれわれは、快感や怒りや落ち着きなどのさまざまな感情に襲われる。人間は感情の動物と言われるが、その感情はすべて脳内の神経伝達物質によって強力にコントロールされているのだ。 その極端な形態が依存症だ。著者は「依存症は決して心の弱さといったものが原因ではなく、脳内の物質の異常から来る病気である」(p.32)という。酒やギャンブルに溺れ

    【2392冊目】中野信子『脳内麻薬』 - 自治体職員の読書ノート
    AgentScully
    AgentScully 2019/09/10
    読んでみようと思います。
  • 【2385冊目】ビョルン・ベルゲ『世界から消えた50の国』 - 自治体職員の読書ノート

    世界から消えた50の国 1840-1975年 作者: ビョルン・ベルゲ,角敦子 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2018/07/12 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る 驚くべきである。書で取り上げられているのは、すべて「今は存在しない」国ばかり(厳密には「国」とはいえないものも含まれるが)。だが、失われた国の歴史文化をたどることで、近現代史そのものがリアルに浮かび上がってくる。 面白いのは「切手」に着目しているところ。切手が発行されるということは、その地域で郵便が配達されるということであり、ある程度の社会的インフラが整っていることを意味する。さらに、切手の中には加刷といって、他の国や地域で使われているものの上に国名などの文字を印刷して用いているものもある。また、絵柄もその国や地域の独自性を感じさせるものもあれば、その国を事実上支配する国の人物(多いのは

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  • 【2369冊目】『少女架刑 吉村昭自薦初期短篇集1』 - 自治体職員の読書ノート

    少女架刑-吉村昭自選初期短篇集I (中公文庫) 作者: 吉村昭 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/10/23 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「死体」「青い骨」「さよと僕たち」「鉄橋」「服喪の夏」「少女架刑」「星と葬礼」の7篇を収めた、吉村昭の初期短篇集。 歴史小説や「プロジェクトⅩ」的熱血成功譚のイメージが強い吉村昭が、初期にこんな作品を書いていたことにまずびっくりした。もっとも後年の傑作の中にも、『破船』のようなブラックな味わいの作品もあるにはあるが、これも時代はだいぶ前。一方、書に出てくる小説はいずれも(書かれた当時の)現代である。 史実をベースにしたものではなく、吉村昭の頭の中で生み出された異様な着想がもとになっている。共通する特徴は、いずれも「死」を大きく扱っていること。というより「死」をきっかけに浮かび上がる「生」を、死の方向から照射している

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  • 【2364冊目】堀川惠子『教誨師』 - 自治体職員の読書ノート

    教誨師 (講談社文庫) 作者: 堀川惠子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/04/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 死刑囚に神仏の教えを説く「教誨師」。その「仕事」の中身が、こんなにすさまじいものだとは知らなかった。なにしろ相手は、死刑が確定した、それも海千山千の強烈な連中である。宗教者としての領、というよりむしろ、ここではその人の人格そのものが試される。 書は、浄土真宗の僧侶として教誨師を50年にわたり続けてきた渡邉普相の語りを、誠実に、丹念に書き留めた一冊だ。死刑制度のもっとも身近で、死刑囚の声を聞き続けた教誨師の言葉のもつ重みは、通り一遍の死刑廃止論とは次元が違う。にもかかわらず読み始めるとやめられなくなるのは、われわれの多くがほとんど目にすることのない世界が、ここに描かれているからだろうか。 看守殺しの脱獄犯、かの三鷹事件で唯一罪に問

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  • 【本以外】私家版「平成の30冊(+番外編10冊)」をセレクトしてみました - 自治体職員の読書ノート

    朝日新聞で「平成の30冊」が選ばれていたが、どうにも気に入らないので、自分なりに選びなおしてみた。基準は「今でも読める」「として一定水準に達している」「それでいて時代を反映している」こと。あと全集、アンソロジー系は除外。当は『ちくま文学の森』とか『池澤夏樹個人編集 世界文学全集』とか入れたいけど。あと海外作品は(一冊を除き)海外での刊行年でカウント。順番はランキングではなく刊行順。では、スタート! 1:ワンダフル・ライフ(1989年/平成元年) ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF) 作者: スティーヴン・ジェイグールド,Stephen Jay Gould,渡辺政隆 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2000/03/01 メディア: 文庫 購入: 15人 クリック: 164回 この商品を含むブログ (123件) を見る 生物進化をめぐる議論を塗り

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