2016.04.10書評 太陽のように幸福で、孤独だった人――清少納言 文:田辺 聖子 『むかし・あけぼの 小説枕草子』 (田辺聖子 著) 出典 : #文春文庫 ジャンル : #歴史・時代小説 『むかし・あけぼの 小説枕草子(上)』 (田辺聖子 著) 「枕草子」と清少納言は、そのいずれも、こんにちなお、解明されていない謎(なぞ)をたくさん孕(はら)んでいる。それだけにさまざまな想像を働かせる余地があって面白い。 従来の学術的研究書をよんで痛感するのは、それが男性的見地からの発想に拠(よ)るものが多いことである。私は「枕草子」をよんで、 (ああ、女だなあ。女なればこその、ものの見かた、発想だなあ――) という感慨をもつことが多いが、その点に触れるような解説は、今までごく僅(わず)かだった。学問の世界は、それが女手の王朝文学といえども、いままで男性学者で占められることが多かったからであろう。女
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