「卓球部ってダサくない?」 そんな心無い言葉が狭い密閉空間に響き渡った。 高校に入学してすぐ、修学旅行があった。 歴史を学んだり観光するという目的ではなく、新入生同士が仲良くなるためのものだ。 これは、各々が期待と不安を募らせながらキャンプ場に向かうバス車内での出来事である。 クラスの女子が男の話で盛り上がっていた 僕は全体から見て真ん中より少し前の席に座っており、左隣にはクラスメイトの男子、右には田舎の街並みを映し出す窓があった。 バスの前方は騒がしい女子たちが占拠していた。 彼女らは、最初は記憶に残らない他愛のない話をしていたが、次第に男の話に移り、どういう男がタイプだとか、彼氏のことなんかを話し始めた。 僕は普段聞くことのできない女の本音を知って、不本意ながら興奮していた。 別に盗み聞きするつもりはなかったが嫌でも耳に入ってきてしまう。 「彼氏にするなら何部がいい?」 「やっぱりサッ