夫婦の別居や離婚後に、一緒に暮らしていない父と子どもが会う機会である「面会交流」を、親権または監護権を持つ妻が妨害する事例が多発している。離婚してしまえば夫婦は他人だが、子どもと父の親子としての関係が変わることはない。しかし、実の子どもなのに何年も会えないまま苦しんでいる男性が多くいるのだ。このような事態が起きている原因は、どのようなものなのだろうか。 まず、父母のどちらが親権者になるかを裁判所が決める場合、どちらが子の利益になるかを考えることとされている。しかし、離婚前に夫婦が別居し、その場合に母が子どもの面倒を見ている場合には、父が親権を取得することは事実上不可能である。なぜなら、子どもを混乱させない、また特に子どもが乳幼児の場合は母親といることが適切であるという観点から、「現状維持の原則」と「母親優先の原則」が司法の基本的な考え方となっているからだ。 たとえ妻が一方的に子どもを連れて