コロナ下にあって、東京オリンピック・パラリンピック開催に終始強い意欲を示してきた菅義偉首相。それもこれも自身の首相再選をにらんだシナリオがあったからだ。しかし、そのシナリオはパラリンピック閉幕を待たずにあっけなく崩れた。菅氏にとって何が誤算となったのか――。 五輪を政治利用しようとしたツケ 「こんなはずではなかった」……。 菅首相は今、繰り返し、そうした痛恨の思いにかられているはずだ。 菅氏は、東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリ・パラ)の開催が「自らの政権浮揚につながる」と期待してきたのは周知の通りだ。にもかかわらず、浮揚どころか、皮肉にもパラリンピックの閉幕前々日の2021年9月3日になって自民党総裁選への不出馬、つまり首相退陣を表明する事態に追い込まれるとは――。菅氏は夢にも思っていなかったに違いない。 なぜ、こんな状況に陥ったのか。 新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収ま