取材中にもらったパンの耳。小麦の風味や噛みごたえなど、パン耳にも店ごとの個性が光る(以下、写真はすべて大谷百合絵撮影) この記事の写真をすべて見る 「パンの耳でも食べて食いつなぐか……」。値上げ、値上げの物価高のなか、ふと思い出される究極の節約食材。一昔前のパン屋では、袋に詰められ格安で売られるパンの耳をよく見かけたが、最近はあまり見ないような。店が売らなくなったのか? パンの耳、どこ行った? そんな疑問を胸に、街のパン屋を取材すると、店側と客側それぞれの苦しい懐事情が浮かび上がった。 【写真】これで108円!? あまりに巨大なパン耳の袋 大量のパンの耳を売っている店があると聞き、東急目黒線の武蔵小山駅(東京都品川区)から徒歩約8分の「こみねベーカリー」を訪れた。 朝9時の開店と同時に、店先に並ぶパン耳の詰め合わせを求める客が、次々とやってくる。食パンをスライスした際に余る両端の“面”が1