2024年8月。 約半年ぶりに実家に帰省した。 ぼくはけっこうな田舎の出身だ。ド田舎かどうかはわからないが、田舎ではあるはずだ。 最寄りの田んぼは徒歩1秒、最寄りのコンビニは徒歩1時間。若者より猪のほうが多い。小学校で熊よけを習う。電車は一部廃線になった。人々の主要な話題は持病と市町村合併と近所のご家庭の噂話。 どちらかと言えば、先が明るくない地域だと思う。もっとも、国全体の人口が減少期に入っている以上、どこもだいたいそうだとは思うが。 でも、みんな一生懸命に生きている。地域の未来が明るくないことと、そこに暮らす人々が明るくないことはイコールではない。 ぼくは地元にいい思い出がないほうの人間だ。でも、だからと言って地元の人を嫌いにはならない。ぼくが地元になじめなかっただけで、誰にも悪気はないからだ。 たとえば、ぼくは田舎特有の、どうでもいい情報が狭いコミュニティ内に一瞬で伝播し、さも重要な