ブックマーク / econ101.jp (255)

  • ポール・クルーグマン「財政赤字に取り乱したって解決にはならないよ」

    Paul Krugman “Panicking Over Deficits Is Not a Solution,” Krugman & Co., August 8, 2014. [“Quadrillions and Quadrillions,” The Conscience of a Liberal, August 2, 2014.] 財政赤字に取り乱したって解決にはならないよ by ポール・クルーグマン MEDI/The New York Times Syndicate 先日,『ニューヨーク・タイムズ』にラリー・コトリコフが「うぇええ赤字こわーい」なコラムを書いてた.きっと,経済政策研究所 (Center for Economic and Policy Research) のディーン・ベイカーがそのうち反駁してくれるだろうと思ってたんだけど,いまのところ,彼が書いてるブログの記事ではじゅ

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  • タイラー・コーエン「イスラエル兵士の死と誘拐の限界代替率はいかに」

    Tyler Cowen “What is the implied MRS for dead vs. kidnapped Israeli soldiers?” (MarginalRevolution, August 8, 2014) もし攫われた兵士がある特定の車の中にいると分かっている場合、その車のエンジンに向けて砲撃を行うことは許容されるとアミドロール氏は語った。「その兵士の命を確実に危険に晒すことにはなるが、彼を殺そうと意図するわけではありません」とは彼の言だ。 そうした形で兵士の命を危険に晒すことは道徳上許容されうるのかと問われると、アミドロール氏は次のように答えた。「戦争ってのが白か黒かとなかなか割り切れるものじゃないのは御存知でしょう。兵士たちは戦場に多くの危険があることを知っていなければならず、そしてこれはそうした危険のうちの一つです。」 これはイスラエル兵に関する話題なのだけ

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  • ポール・クルーグマン「相変わらず失敗の兆しなんか見えない保険医療改革」

    Paul Krugman, “Still Failing to Fail,” Krugman & Co., August 8, 2014. [“Still Failing To Fail,” The Conscience of a Liberal, August 5, 2014.] 相変わらず失敗の兆しなんか見えない保険医療改革 by ポール・クルーグマン 『ニューリパブリック』のジョナサン・コーンが,先日,アメリカにおける健康保険プレミアムに関するこれまでの証拠に目を向けている.それでわかったのは,事態はそうひどすぎるってわけじゃないってことだ: 《消費者の大多数にとって,保険適用はほぼいつでも高くつくものだが,これがいっそう高くつくようになるだろう」とコーン氏は8月4日に書いている.保険プレミアムの変化は州やプランしだいで大幅に異なるだろう.ただ,全体を見ると,2015年のプレミアム増

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  • ポール・クルーグマン「共和党はレーガン神話を守るのに懸命だ――中身におかまいなしで」

    Paul Krugman, “Republicans Are Devoted to Protecting the Reagan Myth, No Matter What,” Krugman & Co., August 15, 2014. [“Sliming Rick Perlstein,” August 5 2014; “On Reaganolatry,” August 8, 2014] 共和党はレーガン神話を守るのに懸命だ――中身におかまいなしで by ポール・クルーグマン Paul Hosefros/The New York Times Syndicate そうだね,グロテスクな話だ.リック・パールスタインが新著を出した.『見えない橋:ニクソンの凋落とレーガンの隆盛』って題で,すばらしく教えられることの多い保守主義運動の興隆史の続きを書いてる――で,その彼がいま,完全に事実無根な剽窃疑

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  • ポール・クルーグマン「エリー湖で共和党の潮目は変わる?」

    Paul Krugman, “Will Lake Erie Turn the Tide?,” Krugman & Co., August 15, 2014. [“Phosphate Memories,” August 4, 2014; “The Empiricist Strikes Back,” August 10, 2014] エリー湖で共和党の潮目は変わる? by ポール・クルーグマン Joshua Lott/The New York Times Syndicate RedState.com の編集者エリック・エリクソンが前に言ってたこれを覚えてるかな? 「ワシントン州はその住民を麻薬密売人グループに変えてしまった――州境をまたいで,リン入り洗剤を仕入れる密売人に」――エリクソン氏は2009年にこう記している.「いったいいつになったら,人々は政治家に『地獄に堕ちろ』と言い出すんだろう?

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  • ポール・クルーグマン「《リバタリアンへの転回》は起こりそうにない」

    Paul Krugman, “The ‘Libertarian Moment’ Will Have to Wait,” Krugman & Co., August 22, 2014. [“Libertarian Fantasies,” The Conscience of a Liberal, August 9, 2014] 《リバタリアンへの転回》は起こりそうにない by ポール・クルーグマン Damon Winter/The New York Times Syndicate ロバート・ドレイパーが先日『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に書いた長文は,「リバタリアンへの転回」の可能性について論じている.この記事には,すでにけっこうな数のコメントが集まっている.その多くは,根拠とされる世論調査を疑問視している. 『ニューヨーク・マガジン』の評論家ジョナサン・チェイトが指摘しているように,独

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  • ポール・クルーグマン「ヨーロッパではダメな意志決定でぞっとする結果が生じてる」

    Paul Krugman, “Bad Decisions Yield Grim Results in Europe,” Krugman & Co., August 22, 2014. [“What’s the Matter With Europe?,” The Conscience of a Liberal, August 13, 2014.] ヨーロッパではダメな意志決定でぞっとする結果が生じてる by ポール・クルーグマン KAL/The New York Times Syndicate ほんの数ヶ月前,ヨーロッパの緊縮派はせっせと自画自賛にはげんでいた.南欧でほどほどに経済が上向いたのを見て,これこそ自分たちの対応の正しさを裏打ちするものだと宣言していた.ところが,いまやニュースで伝えられる状況はゾッとするほど雲行きがわるい.鉱工業生産は急落を見せ,またしても景気後退にずり落ちるのを

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  • バンダリ&フランケル「途上国でこそ名目GDP目標を」

    Pranjul Bhandari, Jeffrey Frankel ”Central banks in developing countries should consider targeting nominal GDP” (VOX, 21 August 2014) 中央銀行、とりわけても発展途上国のそれは、依然として透明性と信頼性のあるコミュニケーションを探求している。しかしフォーワード・ガイダンスあるいはコミットメントによる意図の伝達は、好ましくない制約を生み出してしまうことがある。稿では、名目GDPの形で表現された中央銀行の発表は、インフレ率の形で表現された発表と比較して、発展途上国において非常に一般的である供給・貿易ショックとぶつかり合う可能性がより低いのだ。 中央銀行は依然として依然として透明性と信頼性のあるコミュニケーションを探求している。しかし中間目標についてのフォーワード

    バンダリ&フランケル「途上国でこそ名目GDP目標を」
  • タイラー・コーエン 「日本のテレビ番組に見る『ただ乗り問題』 ~三銃士 vs 50人の素人集団~」(2014年5月7日)

    ●Tyler Cowen, “The free rider problem as illustrated by a Japanese fencing video”(Marginal Revolution, May 7, 2014) ジェイソン・コッキー(Jason Kottke)のブログより。 日テレビ番組で、少々風変わりなフェンシングの試合が組まれた。3名のプロ選手――「三銃士」――が50人の素人集団を相手に試合を行ったのである。 正直言って、あんなに面白い展開になるなんて思いもしなかった。①素人集団が束になってかかって、三銃士があっという間にやられてしまうか、②試合が30秒を超える長期戦になって、三銃士が素人を手際よく次々と始末していくか、のどちらかになるだろうなって予想していたのだ。しかしながら、待っていた結果は何とも興味深いものだった。 50人の素人集団は、やるべきことをやらな

    タイラー・コーエン 「日本のテレビ番組に見る『ただ乗り問題』 ~三銃士 vs 50人の素人集団~」(2014年5月7日)
  • ポール・クルーグマン「公共政策はよりよい習慣を促進すべき?」

    Paul Krugman, “Should Public Policy Promote Better Habits?,” Krugman & Co., August 29, 2014. [“Steps and the City (Fairly Trivial),” The Conscience of a Liberal, August 16, 2014.] 公共政策はよりよい習慣を促進すべき? by ポール・クルーグマン BLEIBEL/The New York Times Syndicate 『ワシントン・ポスト』のエミリー・バジャーが書いた先日の記事によると,都市のスプロールは健康にわるいそうだ.それに,Vox のサラ・クリフによると,映画館の売店も健康によくないらしい.それで,民主党のトム・ハーキン上院議員(アイオワ)とローザ・デラウロ下院議員(コネチカット)はポップコーンにカロリー

    ポール・クルーグマン「公共政策はよりよい習慣を促進すべき?」
  • アレックス・タバロック 「オリンピックゲーム理論」(2012年8月11日)

    ●Alex Tabarrok, “Olympic Game Theory”(Marginal Revolution, August 11, 2012) ノロノロとゆっくり走ってレースに勝つためには、どうしたらいいだろう? その秘訣を知りたければ、以下の映像――自転車トラックレース個人スプリントのワールドカップ(UCIトラックワールドカップ2011-2012、ロンドン大会)の試合映像――をご覧になるといい(似たようなシーンは、オリンピックでも目にすることができる)。スタートラインに立つ二人の選手。世界でもトップレベルの速さを誇る二人だ。スタートの合図が鳴り響くと、限界ぎりぎりまで「速度を落として」スタートを切る二人。その姿は、まるでモンティ・パイソンの世界から飛び出してきたかのようだ。速度を限界まで落とし切って、その場でピタッと停止するケースまであるという。 どうしてこんなことになるんだろう

    アレックス・タバロック 「オリンピックゲーム理論」(2012年8月11日)
  • タイラー・コーエン 「天の恵みで高評価をゲット?」(2014年4月9日)

    ●Tyler Cowen, “What makes most restaurant reviews worthless”(Marginal Revolution, April 9, 2014) グルメサイトのレビューがあてにならない一般的な理由とは別に、次のような特殊な理由もあるようだ。ケイトリン・デューイ(Caitlin Dewey)が興味深い研究結果を紹介している。 ・・・(略)・・・“Demographics, Weather and Online Reviews(pdf)”(「人口要因、天気、オンラインレビュー」)という格好のタイトルが付けられた論文では、84万店舗のレストランに対する計110万件のオンラインレビューが分析されており、来店客のお店に対する評価に影響を及ぼす「外生的な(外的な)」要因が探られている。言い換えると、料理の味や料金設定、従業員のサービスといった要因以外にど

    タイラー・コーエン 「天の恵みで高評価をゲット?」(2014年4月9日)
  • タイラー・コーエン 「文学作品で学ぶ経済学」(2003年10月2日)

    ●Tyler Cowen, “Economics and literature”(Marginal Revolution, October 2, 2003) パデュー大学に籍を置くマイケル・ワッツ(Michael Watts)が編纂した『The Literary Book of Economics』のコピーをつい先ほど受け取ったばかりだ。 このでは、数多くの文学作品の中から、経済学上の概念と関わりのある文章が抜粋されている。個人的にお気に入りの一冊だ。例えば、機会費用(opportunity cost)の項では、ロバート・フロスト(Robert Frost)の詩である “The Road Not Taken”(「行かなかった道」)が引用されている。 また、平等(equality)の項では、カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)のSF短編 “Harrison Bergeron”

    タイラー・コーエン 「文学作品で学ぶ経済学」(2003年10月2日)
  • タイラー・コーエン 「保守とリベラルの政府観の違い ~『厳格な父親』と『慈しみのある母親』~」(2004年6月8日)

    ●Tyler Cowen, “Why are people conservatives or liberals?”(Marginal Revolution, June 8, 2004) 常々思っていることなのだが、多くの政治的な論争での意見の違いは、比較的少数の次元ないしは比較的少数のコアとなる価値判断の違いに還元できるんじゃなかろうか? そして、個々人の価値判断は、基的なパーソナリティーに根差している場合が多いんじゃなかろうか? このような私の直観にいくらか肉付けをしてくれているのが、ジョージ・レイコフ(George Lakoff)だ。彼の主張を簡単にまとめると、保守派は「厳格な父親」(“Strict Father”)モデルの側に立ち、リベラル派は「慈しみのある母親」(“Nurturant Mother”)モデルの側に立つということになる。 レイコフは次のように指摘している。 「家族」

    タイラー・コーエン 「保守とリベラルの政府観の違い ~『厳格な父親』と『慈しみのある母親』~」(2004年6月8日)
  • ポール・クルーグマン「欧州は債務よりも不況の方をもっとずっと心配すべき」

    Paul Krugman, “Europe Should Fear Depression More Than Debt,” Krugman & Co., September 5, 2014. [“Scylla, Charybdis, and the Euro,” The Conscience of a Liberal, August 30, 2014; “Austerity and the Hapless Left,” The Conscience of a Liberal, August 29, 2014.] 欧州は債務よりも不況の方をもっとずっと心配すべき by ポール・クルーグマン /The New York Times Syndicate このところ,ユーロの命運について,尊敬する人たち数名と話してる.ぼくには,ここでカギとなる重要問題にはいくつかのリスクのバランスが関わってるよう

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  • タイラー・コーエン 「レストランでおいしい料理を注文する方法 ~あの本の教えを守って注文すると~」(2005年5月22日)

    タイラー・コーエン 「レストランでおいしい料理を注文する方法 ~あのの教えを守って注文すると~」(2005年5月22日) ●Tyler Cowen, “How to order in a restaurant”(Marginal Revolution, May 22, 2005) Kottke.orgで「レストランでおいしい料理を注文する方法」のパロディが紹介されている。 Blink by Malcolm Gladwell(邦訳 『第1感――「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』):メニューを一瞥して、最初に目にとまった料理を注文すること。どの料理を注文するかは、2~3秒程度で決める必要がある。それ以上時間をかけると、選択の質(ひいては、料理の質)が落ちてしまうので注意。 Freakonomics by Steven Levitt and Stephen J. Dubner(邦訳 『ヤ

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  • ローレンス・ボール「大不況による長期的被害」

    Laurence Ball “The Great Recession’s long-term damage“(VOX, 1 July 2014) 教科書的なマクロ経済理論によれば産出量は不況の後には潜在的な水準に戻るはずだということが示唆されるのに対し、深刻な不況は産出量に対しかなりの継続的影響を与えるという山のような証拠がある。稿では、大不況によってもたらされた長期的な被害の測定について報告する。サンプル中のほとんどの国において、潜在産出量の損失は平均して8.4%であり、実際の産出量の損失とほぼ同じ大きさとなっている。不況による被害が最も酷かった国においては、今日の潜在産出量の成長率は2008年以前のそれよりもずっと低い。 マクロ経済学の教科書によれば、総需要の下落が不況を招き、その際に産出量は経済の資源と技術によって決定される通常の生産水準である潜在産出量を下回る。この効果はしかしな

    ローレンス・ボール「大不況による長期的被害」
  • アレックス・タバロック「バーナンキVSフリードマン」

    Alex Tabarrok “Bernanke v. Friedman” (MarginalRevolution, July 15, 2014) ミルトン・フリードマンは、大恐慌が起こったのは銀行制度の崩壊によりマネーストックの減少と貨幣速度の減速が起こり、それが大規模な総需要の不足を招き、かつそれにFEDが対策をとらなかったからだと主張した。彼のアンナ・シュワルツとの共著の題名、「合衆国貨幣史」は的を射たものだ。ベン・バーナンキもまた、銀行制度の危機を大恐慌の筋書きの中心に据えているが、その伝播の仕組みは大きく異なっている。バーナンキによると、銀行制度の危機は信用の崩壊を招いた。大恐慌研究に関する彼の貢献もまた、「大恐慌の伝播における金融危機の非貨幣的影響」という的を射た題名となっている。 「銀行制度の過熱と破綻」に収録されている素晴らしい論文において、ジェフ・ハンメルはこの2つの筋書き

    アレックス・タバロック「バーナンキVSフリードマン」
  • ポール・クルーグマン「Uber 時代のスマート通勤」

    Paul Krugman, “A Smarter Commute In the Age of Uber,” Krugman & Co., July 18, 2014. [“Life without Cars,” The Conscience of a Liberal, July 15, 2014.] Uber 時代のスマート通勤 by ポール・クルーグマン Patrick T. Fallon/The New York Times Syndicate このところ,スマートフォン配車サービスの Uber とか Lyft なんかをめぐる議論をちょっと追いかけてる.少しだけ,独創的でもない考えを書いておこう.さて,厳密に言うと,その考えってのは独創的だ.つまり,ヨソで書かれてるのを読んだことがないって点ではぼくなりの考えにはちがいないけど,でもまあ,どこかで誰かが書いてるだろう.というわけで,これ

    ポール・クルーグマン「Uber 時代のスマート通勤」
  • ポール・クルーグマン「改革保守派が言う新アイディアは昔ながらのやつとなにも変わらない」

    Paul Krugman, “Reform Conservatives’ New Ideas Are the Same Old Ideas,” Krugman & Co., July 18, 2014. [“Trick or Tweak,” July 2, 2014; “The Meme is Out There,” July 9, 2014] 改革保守派が言う新アイディアは昔ながらのやつとなにも変わらない by ポール・クルーグマン KAL/The New York Times Syndicate 先日,『ニューヨークタイムズ・マガジン』のカバーストーリーで,作家のサム・タネンハウスがこう問いかけてた――「共和党はアイディアに満ちた党になれるか?」 そりゃノーでしょ.これもまた,単純な問いに単純な答えが出る一例だ. もっと具体的に言うと,タネンハウス氏が書いてる「改革保守」ってのは,もっ

    ポール・クルーグマン「改革保守派が言う新アイディアは昔ながらのやつとなにも変わらない」