私が中学1年生のときである。恐らく入学したばかりの1学期だったと思う。学校から配布されたアンケート用紙にこういう趣旨のことが書かれていた。「どうすればいじめがなくなるか」。 「やられたらやり返せ。目には目を、歯に歯を」という旨のことを書いた。これは明らかに記憶している。現在にまで至る歪んだ性格の一端が窺える、私の面目躍如の場面である。 担任に職員室へ呼び出された。危険思想の持ち主として目をつけられたのか。「加害者には被害者の気持ちがわからない――わかっていたら、いじめなんてしない――というのも嘘だというのは、最近になって気付いたが――のだから、理解させるには実体験させるしかない」という意図を伝えるのに小一時間を要した。 そのアンケートの背景を私はもはや思い出すことができないが、1997年のことだから、マスコミを賑わせていた「キレる中学生」が背景にあったものと思われる。兵庫県神戸市の「酒鬼薔