これはひどい本である。いままで私が読んだ本の中でも、これほどひどいものはあまり記憶がない。この本を知ったのは某新聞社の大々的な広告であった。そのキャッチコピーが「日本は過去をまったく反省する必要がない!」という刺激的なものであった(このコピーは本の帯にもついている)。そのキャッチコピーをみただけで、おおよそどんな書であるかということは予想できるのだが、実際にこれを読んでみるとその予想が覆るどころか、予想以上にひどいものだったので只々驚くほかなかった。それなのになぜ最後まで読めたのか自分でも不思議な気がするが、その理由について少々個人的な説明(ちょっとまわりくどくなりますが)をしたい。 私は故山本七平氏の作品(ベンダサン名も含む)を好んで読んできた。今でも故山本七平氏を敬愛する者である。ところが最近、渡部昇一氏がPHP社の山本七平賞選考委員の一人であると知って、とりあえず新聞で目にとまった彼