【読売新聞】評・堀川惠子(ノンフィクション作家) 罪なき人が「自白」し、その調書に署名までする。昭和の昔話ではない。事件の解明に取り組んだ報道チームのデスクが「供述弱者」という新たな視点から、正義の 天秤 ( てんびん ) が狂う
2005年に起きた栃木県今市市(現・日光市)の小学1年女児殺害事件で、殺人罪などに問われた勝又拓哉被告(36)の控訴審判決で、東京高裁は3日、1審・宇都宮地裁の裁判員裁判判決の内容を破棄した上で、改めて被告に無期懲役を言い渡した。藤井敏明裁判長は「被告が犯人である可能性を示す複数の状況証拠を総合すれば、被告が犯人と認められる」などと述べた。 高裁は一方で、取り調べの録音・録画(可視化)の映像を有罪の直接的な根拠とした1審判決には法令違反があったと指摘した。 勝又被告は05年12月2日午前4時頃、茨城県常陸大宮市の林道で吉田有希(ゆき)ちゃん(当時7歳)の胸などをナイフで何度も刺して殺害したとして起訴された。 被告は捜査段階で殺害を自白したが、公判では一貫して無罪を主張。被告が犯人であることを直接的に証明できる証拠に乏しく、1、2審を通じて、被告の自白調書が信用できるかどうかが主な争点となっ
全国的にアサリの漁獲量が減少する中、香川県内でも激減し、潮干狩りシーズンだが、干潟を訪れる人は少ない。 瀬戸内海を浮遊するアサリの幼生の数自体は大きく減っておらず、浜辺などに着底しなくなったことが原因と考えられる。専門家らは再生に向け、新たな取り組みを進めているが、短期間で回復させるのは難しいという。 「『今年はとれるかな』と期待して来たけど、全くとれない。瀬戸内海にはもうアサリはいないのかもしれない」。高松市屋島西町の干潟を訪れた40歳代の男性は熊手を掘る手を止めて、ため息をついた。 ここは人気の潮干狩りスポット。以前は家族連れでにぎわっていたが、大型連休中にもかかわらず、この日は数人しかいなかった。1時間以上掘り、見つかったのは小さなアサリ3個という人もいた。 アサリの研究をしている香川大農学部の一見和彦教授によると、同所では2007年に1平方メートルあたり1800個以上のアサリが見つ
古典落語「目黒のさんま」にちなみ、炭火で焼いた5000匹のサンマを振る舞う「目黒のさんま祭」が17日、東京都目黒区の田道広場公園で開かれた。 宮城県気仙沼市産の生サンマを提供する毎年恒例の行事だが、今年は深刻な不漁のため、解凍サンマに代えて開催にこぎ着けた。 同祭が始まった1996年以降、「気仙沼の新鮮なサンマを食べてもらいたい」と「生」にこだわって続けてきた。しかし今年は、気仙沼漁港で今月2日にサンマが揚がってから2週間、水揚げがなかったため、解凍サンマに変更した。 気仙沼市側の同祭の実行委員会会長・松井敏郎さん(70)は「苦渋の決断だ」と厳しい表情を見せたが、会場では、サンマを心待ちにした来場者で長蛇の列ができた。東京都中野区、会社員の男性(34)は「生と遜色なく、脂ののりがよく、ふっくらしていておいしい。解凍でも、さすが気仙沼のサンマだ」と笑顔で話した。
誤認逮捕をめぐる記者会見の冒頭、女性への謝罪を述べる三好署の西岡寿典署長(左から2人目)ら(11日正午、三好署で) 短文投稿サイト「ツイッター」を利用した詐欺事件で、徳島県警三好署が、愛知県豊田市の専門学校生の女性(21)を誤認逮捕していたことがわかった11日、西岡寿典署長らは「捜査は軽率で慎重さを欠いた」と不手際を認め、陳謝した。 女性が容疑を否認し続けたにもかかわらず、勾留が19日間にも及んだ背景には、ネット犯罪に対する県警の知識不足があった。 会見には、西岡署長と安部圭彦副署長のほか、県警刑事部の幹部が出席。西岡署長らは誤認逮捕に至った理由について、被害者がツイッターで女性とやりとりしていたと申告しており、被害者の現金の振込先の口座が女性名義で、振り込み当日に女性が現金を引き出していたことなどを挙げた。 一方で、釈放後、女性がチケットを送った郵便局を自力で捜し出し、捜査の見直しにつな
鳥取県農業試験場(鳥取市橋本)が、「カレーに合う米」を開発した。 もちっとした食感と香ばしい香りが特徴で、今秋にも商品化する予定。鳥取はカレールーの消費量が全国1位の〈カレー王国〉としても知られ、関係者は「米にもこだわる県民の熱い思いを、県外にもPRしていきたい」としている。 総務省が2014~16年、2人以上の世帯を対象にした家計調査で、県内1世帯あたりのカレールーの年間平均購入額は1888円(全国1474円)、消費量は1982グラム(同1509グラム)で、いずれも全国トップ。過去の調査でも上位をキープしており、「カレー好き県民」としてテレビ番組などに取り上げられてきた。 同試験場が開発に着手したのは7年前。町おこし団体「鳥取カレー倶楽部」の会長だった池本百代さん(61)から「カレーは味わいや辛さなどルーに目が向きがちで、米には関心が薄い」と指摘を受けたのがきっかけだった。作物研究室の中
警視庁高井戸署員が2015年12月、万引き事件の捜査で、当時中学生の少年2人に対し、「認めないと逮捕するぞ」などの暴言を吐いていたことがわかった。 同庁は、署員2人を注意処分とし、少年の両親に謝罪した。 少年から申し立てを受けた東京弁護士会は10日、人権侵害があったとして、高井戸署に警告した。 同庁幹部によると、15年12月、スーパーで起きた万引きで、同署の警部補と巡査部長が、同級生に万引きを強要した疑いがあるとして、中学生の少年2人を任意で取り調べた。 少年らは事件への関与を否定したが、警部補らは黙秘権を告知せず、「高校に行けなくしてやる」「鑑別でも少年院でもぶちこむしかない」などと強い口調で迫ったという。少年の1人が取り調べをICレコーダーで録音していた。最終的に、少年らの万引きへの関与は認められなかったという。
ハンセン病とされた男性が無実を訴えながら死刑となった「菊池事件」の再審を求めている弁護団は、「検察が再審請求しないのは被害回復を求める元患者らの権利を侵害している」などとして、8月下旬にも国家賠償請求訴訟を熊本地裁に起こす方針を明らかにした。原告は、「菊池 恵楓 ( けいふう ) 園」(熊本県合志市)など国立ハンセン病療養所の入所者ら約10人で、国に1人約10万円の慰謝料を求める。 菊池事件では、熊本県内の元役場職員を殺害したなどとして殺人罪などに問われた男性が、菊池恵楓園などに設けられた「特別法廷」で審理され、1957年に死刑判決が確定。3度目の再審請求が棄却された62年に刑が執行された。 ハンセン病患者を対象にした特別法廷は48~72年、刑事裁判94件を含む計95件が設置された。最高裁は昨年4月、特別法廷の検証結果を公表し、60年以降の27件を違法と認定して謝罪。最高検も3月、60年以
大阪地裁岸和田支部が作成した公判調書に虚偽記載があったかどうかが争われた刑事裁判の控訴審判決が6日、大阪高裁であった。 福崎伸一郎裁判長は、法廷でのやり取りが記された同支部作成の別の書面について、裁判官が違法に虚偽記載をさせた可能性を指摘。「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があった」として1審の有罪判決を破棄し、審理を大阪地裁に差し戻した。 自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)に問われた男性被告(35)の裁判。1審の地裁岸和田支部(大崎良信裁判官)が作成した公判調書には、被害者の家族が被告への質問を申し出た際、検察官(副検事)が「許可相当と 思料 ( しりょう ) します」との意見を述べたと記されていた。 1審判決後、弁護人は同支部に異議を申し立て、「検察官は意見を述べていない」と主張したが、同支部は、異議を受けて作成した書面に「検察官から意見が明確に述べられた」と記載した
日本政府は、慰安婦を「性奴隷」と位置づけた国連拷問禁止委員会の報告書について、日韓関係の新たな火種にならないか警戒している。 慰安婦問題をめぐる日韓合意に否定的な韓国世論を刺激しかねないためだ。 報告書は、慰安婦について「第2次世界大戦中の性奴隷制度の犠牲者」とするなど、事実に反する表現が含まれている。日本政府は反論することも検討しているが、今後、韓国政府の動きを見極めたうえで対応を決める方針だ。報告書が韓国に宛てて作成されたもので、日本政府が一方的に主張すれば、韓国側の反発を招きかねないためだ。 韓国では日韓合意の「再交渉」を掲げた 文在寅 ( ムンジェイン ) 氏が新大統領に就任した。報告書発表のタイミングが、韓国内で合意を見直そうとする機運の高まりと重なったことも、日本政府が神経を使う要因だ。
北海道は28日、江差町で繁殖のために押し寄せた大量のニシンで海が白く濁る「 群来 ( くき ) 」が確認されたと発表した。 かつてはニシン漁でにぎわった同町だが、その後は衰退していた。群来が確認されたのは約100年ぶりという。 道によると、26日午前、江差港の南にある「えびす浜」付近の海が白濁しているのを漁業者が発見。28日には付近の海底で、海藻に産み付けられたニシンの卵が見つかったという。 江差町によると、町内でのニシンの豊漁は1913年(大正2年)が最後という。檜山地方では2009年からニシンの稚魚の放流を行っており、同町は「放流の成果が表れているのではないか」と話している。
絶滅 ( ぜつめつ ) が心配される動物や植物の 保護 ( ほご ) を目指す「ワシントン 条約 ( じょうやく ) 」を 結 ( むす ) ぶ 国同士 ( くにどうし ) の 会議 ( かいぎ ) が、9月24日から10月4日まで、南アフリカで開かれました。数が 減 ( へ ) っているウナギを守るため、世界 各国 ( かっこく ) が取引の 実態 ( じったい ) や生息数を 調査 ( ちょうさ ) することが決まりました。 ワシントン条約は、世界 最大 ( さいだい ) の 自然 ( しぜん ) 保護 機関 ( きかん ) とされる「 国際 ( こくさい ) 自然保護 連合 ( れんごう ) 」とアメリカが中心となって作った決まりです。日本を 含 ( ふく ) む 約 ( やく ) 180か国と 欧州 ( おうしゅう ) 連合(EU)が、この条約を結んでいます。アフリカゾウやトラなど
警察官に暴行した事実がないのに逮捕、勾留されたとして、会社経営の二本松進さん(68)(東京都新宿区)らが、東京都などに計約910万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(白石史子裁判長)は1日、都に240万円の支払いを命じた1審・東京地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却する判決を言い渡した。 高裁判決によると、二本松さんは2007年10月、違法駐車の取り締まり中だった警視庁築地署の警察官に暴行したとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕されたが、東京地検は不起訴(起訴猶予)とした。 高裁も1審と同様、警察官の説明が変遷していることなどから、「暴行の事実はなく、逮捕は違法だった」と認定した。 警視庁の話「主張が認められず残念。判決内容を検討し、対応を決める」
庶民の味として親しまれてきたシャコの水揚げが激減している。 兵庫県西部の播磨灘や大阪湾では20年前の5%以下にまで減った。詳しい原因は不明だが、専門家は「海底の酸素量が減ったことなどが影響しているのではないか」と推測する。 姫路市で10月14、15日に行われた「灘のけんか祭り」。締め込み姿の男たちがみこしをぶつけ合う勇壮な神事で知られるが、氏子らが囲む宴席で山と盛られていた「シャコの塩ゆで」が、5~6年前から姿を消した。「景気づけには絶品だったのに」と松原地区の祭典委員長、高井太三さん(68)は嘆いた。 すしネタで出す店も減っている。3年ほど前に仕入れをやめた大阪市阿倍野区の「松寿司」店主・谷川洋平さん(39)は「生の大きなものが回ってこなくなった。手に入っても、かなり小ぶり。『食べたい』と言うお客さんもいるのですが……」と残念そうに話す。 姫路市によると、同市沖の播磨灘では1997年に年
5月に改修オープンした小田原城天守閣のポスターを巡り、キャッチフレーズに含まれた「開城」の文字が波紋を呼んでいる。 ポスターには「小田原の『誇り』、再び開城」とあり、平成の大改修を終えて真っ白に生まれ変わった天守閣が大写しにされている。 神奈川県小田原市観光課によると、ポスターのデザインはフレーズも含め市が決定。オープン前の告知やJR東海のツアーポスターとして使用され、東京駅など新幹線の駅に掲示されている。 問題の「開城」のそもそもの意味は「降伏して城を明け渡すこと」。小田原城は1590年、豊臣秀吉に包囲されて開城し、4代北条氏政は切腹、5代氏直は高野山へ追放された歴史がある。それだけに、大改修を祝うはずのフレーズが「再び開城」であることに、違和感を覚えた人もいるようだ。 市の担当者は「休館後の開場なので城にかけて『開城』にした。城の扉を開けるというイメージだった」と話す。特に史実を意識し
北朝鮮の核実験やミサイル発射を受けた措置で、月内にも馳文部科学相名で通知を出す。朝鮮学校への補助金交付は自治体の判断に委ねられており、政府の自粛要請は極めて異例だ。 朝鮮学校は、都道府県が各種学校として認可し、全国に68校ある。各自治体は運営費名目などで補助金を交付しており、文科省によると、2014年度は18道府県と114市区町が計約3億7000万円を交付している。政府は、14年度に交付実績のある自治体を対象に通知を出す方針だ。 通知では、朝鮮学校について、「北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総連が、教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしている」と明記する。北朝鮮の独裁政権を称賛する教育内容や、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にある学校運営を指摘し、交付された補助金が北朝鮮に送金されている可能性にも言及したものだ。
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