倉庫内には引き取ったばかりの未整理分の書籍もあふれる。積み上げられた段ボール箱は寄贈書籍の引取時で再利用し経費を切り詰めた運営をしている=大阪市東淀川区で2012年6月12日、宮間俊樹撮影 ◇大部分は貸し倉庫で“待機” アジア関連の書物を中心に蔵書が50万冊を超えるアジア図書館(大阪市東淀川区淡路5、会員制)。1981年の設立以来、一般市民の手で維持運営され続け、私立図書館では国内最大規模だ。【宮間俊樹】 タイの仏像や中国の京劇面などが飾られ異国情緒が漂う館内には約5万冊が並ぶ。しかしこれはほんの一部で、蔵書の大部分は近くの貸し倉庫で出番を待っている。坂口勝春事務局長(69)は「全てを本棚に並べて、手に取って読んでもらえるように早くしないといけない」と、より本格的な図書館建設を目指し寄付金を募るなど奔走してきた。 長年培ったネットワークから数万冊単位の寄贈もあり、書籍の引き取りや整理分類に
東日本大震災の洗浄写真を展示する近藤友貴さん=愛知県知立市の市文化会館で2011年12月13日、安間教雄撮影 東日本大震災の津波で流され回収された写真のうち、損傷・劣化が激しくて廃棄予定だった写真の展示会が14日、愛知県知立市上重原町の市文化会館で始まった。被災地で回収写真の洗浄作業ボランティアをした名古屋市西区稲生町のフリーター、近藤友貴さん(23)が企画。被写体が何かさえ判別できなくなってしまった3369枚を展示している。近藤さんは「何が写っていたのだろうかと想像し、大震災や被災者のことを考えてもらえれば」と話している。【安間教雄】 「痕(あと)--東日本大津波が残していったもの~カヘルコトノデキナイ写真タチ」と題された写真展。ほとんどがL判の大きさで、津波に流されて傷が何本もついたり、摩擦で削られた痕が残ったり、被写体が見えなくなったりしている。水に長くつかっていたためか、色がすっか
長崎の原爆で消失したキリスト教絵画を撮影したガラス乾板を手にする松本夏樹さん=堺市堺区で、幾島健太郎撮影 長崎への原爆投下で消失した浦上天主堂の宗教画「馬利亜十五玄義図(マリアじゅうごげんぎず)」のモノクロ写真乾板(ガラス製のネガ)を、大阪芸術大非常勤講師の松本夏樹さん(59)=堺市堺区=が保管していることが分かった。奈良・大和路の風景や仏像を数多く撮影したことで知られる写真家の入江泰吉(1905~92)が撮影に関わったもので、02年に大阪市内の古美術品店で購入したという。入江の戦前の原板は少なく、貴重な資料といえそうだ。 馬利亜十五玄義図は日本画の材料を用い、キリストや聖母マリアの生涯が15コマに分割して描かれた縦64センチ、横54センチの絵画。江戸時代に隠れキリシタンの家に伝わったとされ、明治時代以降、浦上天主堂が保管していた。 その写真は美術史家の西村貞が1945年1月に出版した専門
◇県に推進室、識者で懇話会 “宝”の再編集へ秋に素案 婚活応援課、いのしし課、がばいばあちゃん課--。前任地の佐賀県内の自治体でも個性的な“看板”を掲げる部局があった。今春から担当している滋賀県庁で、気になったのは「『美の滋賀』発信推進室」。全国4位の国宝、重要文化財数を誇る県で、なぜ今さら「美」を打ち出すのか。5月14日、大津市の県立近代美術館で開かれた「美の滋賀」発信懇話会の初会合を傍聴して知ったのは、美術にまつわる「三つの課題」だった。【姜弘修】 「場所柄、親子連れが多いが、図書館までは行っても、その先の美術館に入る家族はなかなかいない」 緑に覆われた大津市瀬田南大萱町の「文化ゾーン」。週末、親子連れでにぎわう芝生エリアを抜け、県立図書館を横目に県立近代美術館に向かうと、懇話会で唯一の公募委員、稲増満子さん(36)=同市=が述べた意見にうなずかされた。 84年の開館から間もなく30周
「まるで星をちりばめた天の川のよう」。イモムシの美しい模様に魅せられ、描き続けている自称「イモムシ画家」の桃山鈴子さん(51)=三重県四日市市。自宅で飼育しながら、あらゆる角度から観察し、背中からおなかまで「展開図」として写し取る。独自の視点で表現した作品集が国内外で高く評価されている。【松本宣良
危機と対応の混乱が続く福島第1原子力発電所。この国には、この「フクシマ」を含め54基の原子炉がある。そもそも被爆国であり地震国でもある日本に、なぜ、これほど多くの原発が造られたのか? 「原子力の戦後史」をひもといた。【浦松丈二】 ◇米国の「冷戦」戦略受け導入 政治主導で推進、議論尽くさず <ポダムとの関係は十分成熟したものになったので、具体的な協力申し出ができるのではないかと思う> 早稲田大学の有馬哲夫教授(メディア研究)が05年、米ワシントン郊外の国立第2公文書館から発掘したCIA(米中央情報局)機密文書の一節である。終戦直後から60年代までに蓄積された474ページにわたるその文書には、日本に原子力事業が導入される過程が詳細に描かれていた。 「ポダム」とは当時、読売新聞社社主で日本テレビ社長だった正力松太郎氏(1885~1969年)の暗号名。原子力委員会の初代委員長を務め、のちに「日本の
もし今、ミルクが生きていたら? 「政治的な立場に就いていると思う。知事だったり、市長になっていることは間違いないだろう」と予想するガス・ヴァン・サント監督 09年の米アカデミー賞主演男優賞受賞作「ミルク」が18日に公開された。70年代の米国で、同性愛者や高齢者ら社会的弱者のために社会を変革しようと立ち上がり、志半ばで凶弾に倒れた実在の人物ハーヴィー・ミルクの“最後の8年間”を描いている。同性愛者であることを公表した初めての政治家でもあったミルクをショーン・ペンさんが演じた。「パラノイドパーク」「エレファント」のガス・ヴァン・サント監督に話を聞いた。【りんたいこ/フリーライター】 ヴァン・サント監督は、これまでも社会の枠組みから外れた人間を数多く作品に登場させてきた。「『マラノーチェ』では、ちょっと怪しい、バランスが取れていない人間たちを描いた。彼らは、自分なりの理想と価値観を持っていた。そ
県や名古屋市、経済団体などが10年に愛知芸術文化センター(名古屋市東区)を拠点に開催する「あいち国際芸術祭」の芸術監督に国立国際美術館長の建畠晢(たてはたあきら)氏(60)が就任することが決まった。今秋に芸術祭の主題、来春に実施計画をまとめる。29日、県庁で記者会見した建畠氏は「市民と肩を組んで、開催に向けた雰囲気を醸成していきたい」と抱負を語った。 県文化芸術課が同日発表した。あいち国際芸術祭は、愛知万博5年後の10年に、万博の地で新たな芸術を創造、発信しようという試みで、10年以降3年ごとの定期開催を目指す。初回は現代美術を機軸としながら、音楽や舞踊なども併せて展開する方向だ。 芸術監督に就任する建畠氏は早稲田大卒業後、国立国際美術館研究官、多摩美術大教授などを経て、05年から現職。イタリアや韓国の国際的な芸術祭でディレクターなどを務めた手腕を買われた。 建畠氏は会見で「現代美術にパフ
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