今年に入り、中国が日本国債への投資を大幅に増やしている。財務省の国際収支統計によると、証券投資で購入から売却を引いた買い越し額は1〜5月計で1兆2762億円(速報値)と、統計開始以来最高だった2005年通年の5倍になった。欧州の財政不安とユーロ安を受け、中国当局が外貨準備を日本国債に振り向けているためとみられる。 統計がある05年〜09年、中国の買い越し額は多くても2千億円台にとどまった。だが、欧州の金融市場が混乱し始めた今年に入り、積極的な購入を開始。5月は単月の買い越し額が7352億円に膨らんだ。売買されているのはほとんどが短期国債だ。 5月は世界有数の金融街シティーの金融機関からの発注がある英国(4兆9807億円)を除けば、中国は最も買い越し額が大きい。買い越し額全体(3兆2102億円)に占める中国の割合も2割超の水準で「中国の存在感が急に高まっている」(財務省幹部)状況だ。