すこし前の話だが、タワーマンションの上層階をかなりのお金を出して購入したひとに話を聞いたことがある。彼は子どもがまだ小学生なのに、相続のことを考えて決断したのだという。 私がぽかんとした顔をしていると、彼はそれがどれほど有利な節税法なのか懇切丁寧に教えてくれた。 湾岸などに建てられた超高層マンションは、眺望のいい上層階ほど価格が高い。それに対して低層階は人気がないため、価格は近隣の物件と比べても安めだ。ところが相続税の算定基準となる「評価額」は階層で差をつけず、マンション全体の評価額を各戸の所有者で均等に分割することになる。 「同じ広さで、2階が2000万円で50階が1億円だとするでしょう。でも相続税評価額は、1億2000万円を2等分した6000万円なんです。そうすると、子どもに1億円相当の不動産を相続させても、税金を40%も節約できるじゃないですか」 私は話をうまく理解できず、彼に訊いた