衆院解散は「首相の専権事項」なのか。自民党総裁でもある首相が、与党が勝てる時ばかりを狙って解散するならば、国民の審判を仰ぐという、総選挙の意味はどうなるのか。 日本は国民の声が届かない「政府主権」の国になっていると懸念する、中央大学法学部教授の橋本基弘さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ 「専権事項」なのか ――首相はいつでも自由に衆院を解散できる、と思われている部分があります。 橋本氏 憲法上、解散は首相が自由にできることを定めた条文はありません。 憲法69条(※1 衆院で内閣不信任案が可決され、信任案が否決された場合、内閣は総辞職か衆院の解散を選ぶ)にある以外の理由でも解散できるということと、自由に解散できるということは、もちろん、同じ意味ではありません。 報道で解散について「首相の専権事項」という表現が使われることがあります。しかし、憲法にそのような文言は一言もありません