ホームセンターにドリルを買いに来る人は、本当はドリルが欲しいのではなくて、「穴」がほしい。穴をあけるのにドリルは必要ないかもしれないし、棚を作ったり椅子を作ったり、穴を使って達成したい何かには、もしかしたらそもそも、穴なんて必要ないかもしれない。 ドリルを買いに来た人に、性能のいいドリルを勧める店員さんは、「お客さんが本当に欲しかったもの」を提供できていない可能性があって、ドリルに詳しくなることとは、もしかしたら「いい店員になること」を遠ざける。 ネットには無数の情報があって、無数の読者がいて、記事を読んでは、またそれを話題に盛り上がる。じゃあネットで記事を熱心に読む人たちが、本当のところ何がほしかったのかといえば、ドリルの理論を延長すると、情報それ自体ではなくて、むしろ「聞いてくれる人」なのではないか、という妄想に到達する。 多くの人はたぶん、誰かに聞いてほしいから、何かの話題を作りたい
もうすでに多くの方がフェイスブックやブログで取り上げておられます大王製紙元会長巨額融資事件に関する特別調査委員会報告書を週末に読みました。 まず、正直に認めなければなりませんが、これまでのエントリーで私が申し上げていたことと、すこし事実関係が違っていたことが判明いたしました。私は「勇気ある内部通報者」として、関連会社の融資担当者の方に焦点をあてておりましたが、実は勇気があったのは関連会社ではなく四国の本社関連事業第1部の担当者の方だったようであります。関連会社の方から「当社から会長個人口座へ3億円を振り込んだ」との連絡を受けたこの本社担当者は、通常の事務連絡ルートを飛び越えて直接社長本人に融資の事実を伝えた、とのこと。もし通常の事務連絡ルートに従って、この情報を伝達していたのであれば、(情報を受領するのは、事情を知悉しておられた元会長の実弟である関連事業部担当取締役ですから)いまもまだ本件
10月30 オリンパス(7733) 米SECも調査開始? カテゴリ:企業不祥事 オリンパス(7733)の問題で、米SECが調査に乗り出したと報じられています。 以下、日経(2011/10/29)より。 28日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、オリンパスが英医療機器メーカー、ジャイラスの買収で巨額の手数料などを支払っていた問題で、米証券取引委員会(SEC)が調査を始めたと報じた。同紙は調査の焦点が何かは判明していないとしつつ、弁護士の話として支払額の一部がオリンパス関係者に流れたかを調べる可能性があると指摘している。(以下省略) 証券取引等監視委員会も、オリンパスの開示の適正性について調査を進めると報じられています。 ガッツリ調査して欲しいものです。 「企業不祥事」カテゴリの最新記事
(2011年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日本企業はスキャンダルに幕を引く方法として、儀式的な謝罪と辞任をよく使う。そのため、オリンパスの会長兼社長だった菊川剛氏の辞任は、使い古された台本そのままのように見える。 菊川氏は、株主に「心配と迷惑」をかけたことについて形式的に謝罪したが、やましいことは何もないという立場は頑なに貫いている。菊川氏の声明は、同氏の経営責任や、不可解な買収と投資顧問料で10億ドル以上が蒸発したことについて渦巻き続けている疑問に何も答えていない。 これらの買収の極端な不透明さ――英国企業ジャイラスを20億ドルで買収した際に払った6億8700万ドルの投資顧問料や、日本企業3社を法外な高値で買収した件など――は、菊川氏に辞任以外の選択肢を残さなかった。 菊川氏だけにとどまらない責任 だが、責任の所在は菊川氏にとどまらず、広範に及ぶように見えることを考える
最近、アメリカ社会は「The Winner Takes It All社会」の傾向を一層強めていると言われます。 The Winner Takes It Allとは勝ち組が全てを奪うことを指します。 先週、米国連邦議会予算局(CBO)が「家計収入の分配に関するトレンド 1979~2007年」という題の報告書を提出しました。 それによると近年のアメリカはこの「勝ち組が全てを奪う社会」の傾向が一層強まっていることが浮き彫りになっています。 米国で最も裕福な1%の人々の家計所得は1979年から2007年にかけて+275%増えました。 その一方で中流に属する60%のアメリカ人の家計所得は同じ時期に40%しか増えていません。 その結果、一握りの裕福層がアメリカ全体の富のより多くの部分を支配する傾向が強まりました。 下のパイチャートは五分位数(quintile)による米国の所得シェアを示したものです。
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