宮崎県新富町役場の総合窓口を担当していた松本美香さん(当時28)は2008年に入り、住民データの確認と修正に追われた。電算システム一新にともない新システムへの移行が予定通り進まなければ、翌年度の課税業務ができないとされていたからだ。だが、移行が終わらぬまま転入出が増える3月に突入、翌4月には上司が全員代わり、業務に精通した美香さんに負担が集中した。母が負担軽減を求め土屋良文町長に直談判しても状況は変わらず、08年5月、大量の安定剤等を服用し、過労自殺。2011年6月、民間の労災認定にあたる公務災害認定を受けた。遺族は新富町に対し損害賠償を請求する訴訟を起こし、2012年10月、8千万円の支払い等で和解した。美香さんの過労自殺はなぜ防げなかったのか。実態を詳報する。(訴状、準備書面、和解条項などはPDFダウンロード可) 2008年5月19日は、1週間が始まる月曜日だった。だが、宮崎県新富町の