愚かな為政者は、あらゆる問題について愚かな決定をするものだと痛感させられている。言うまでもなく、新国立競技場の件である。世界に対して新しいスタジアムを造ると約束したとか、二〇一九年のラグビーワールドカップに間に合わせるためには今決めなければならないとか、およそ理由にならない説明ばかりである。結局政治家の見栄のために途方もない無駄遣いが決定された。 新国立競技場、安全保障法制そして原発再稼働、これらの政策決定は、日本政治を蝕む無責任という病気の症状なのである。この病は、戦後政治学のパイオニア、丸山真男が大日本帝国の戦争遂行過程を分析する中で見出したものである。この病に罹った指導者の特徴は、既成事実に屈服する。事実を直視できず、希望的観測に基づいて行動する。まずいと思っても自分には止める力がないと諦め、保身に走るなどである。集団的自衛権を行使しても敵方は日本を攻めることはないだろうとか、地震や