予定された改元まで4カ月。今回から数回に分け、平成の食のシーンを映画を通して振り返ってみたいと思う。まずは1996年(平成8年)製作の「月とキャベツ」から。 宇宙のひみつはちみつなはちみつ 本作は、鶴間香の第2回さっぽろ映像セミナー入選シナリオ「眠れない夜の終わり」を原案に、篠原哲雄監督と「演劇集団キャラメルボックス」の真柴あずきが共同で脚本を執筆。バブル期に映画事業を積極的に展開してミニシアターブームを作ったセゾングループが製作したラブファンタジー映画である。本作が映画初出演となるシンガーソングライターの山崎まさよしと当時19歳の新人女優、真田麻垂美が主演を務め、山崎は音楽と主題歌も担当している。 舞台はロケが行われた群馬県中之条町。人気バンド「ブレインズ」のボーカルだった花火(山崎)は、1年前のバンド解散後、中之条町の廃校に移り住んでキャベツを栽培する毎日を送っていた。梅酒造りが趣味の