かつて日能研(中学入試専門の塾)で働いていたときは、 入塾テストで選抜された優秀な子たちばかりを相手に授業していたので、 計算でつまずいている子は見たことがなかった。 10年近く勤めた日能研を辞めて個人塾を立ち上げたのが、およそ20年前。 中学入試の世界から離れて、ふつうの小中学生対象の塾だ。 塾を始めてまもなくの頃、中3のAちゃんが入ってきた。 お母さんがおっしゃるには 「うちの子はとてもまじめで、学校の宿題も欠かさずきちんと丁寧にやってきました。 なのに、数学がここまで苦手なのはどうしてなのでしょうか」 こういう場合、最初にすべきことは決まっている。 基本的な問題をいくつか投げかけてみて、どのあたりでつまずいているのかを調べる。 「ノートに式を書かなくてもいいから。暗算で答が出るものはすぐに答えてね。 まず最初の問題。300✕2の答は?」ふつうはここで600とすぐに答が返ってくるが、
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