量子力学では、重力などが空間に及ぼす影響を場として捉える。電場とか磁場とか重力場とかである。場の中に他の物体があるとき、引力なり斥力なりの相互作用が及ぼされるのだが、その際ゲージ変換という数学的なデータ変換を行って“場”を“粒子”に置き換える。場が蜘蛛の巣だとすると粒子は相手に鉄砲の弾を当てるようなもので、全方向的な場と、相手を定める粒子を同一視するのは奇妙ではあるが、例えば電磁力を媒介する粒子である光子(フォトン、末尾につける-onは、粒子であることを示している。)などはこの変換によって存在が規定されるなど、物理学の中では明確に成果をあげている便利な考え方なのである。 突然専門的な話を始めたのも、物理学が光の干渉現象と光電効果に見られる、波と粒子の混在というアポリア(難問)を解決するために用いた上記ゲージ変換の場と粒子を変換するという発想が、これから展開する話のテーマだからである。という