先日見たドイツ映画『Sommer vorm Balkon』は、下層に生きる都市民の孤独を描いた映画でしたが、実は、歴史的に見ても、貧困と孤独は密接な関わりがあります。 私は下層民研究の専門家ではなく、中世末から近世までのドイツの都市についてわずかばかりの知識を持っているだけですので、全体的な記述は眉に唾を付けて読んでいただければと思いますが、当時の都市の貧民の代表は、独身者、特に独身女性だったということは確実に言えます。 これは何を意味しているかというと、当時は社会の正式なメンバーとして認められる基本的条件に結婚することがありました。しかし、結婚は通常、ある程度の経済的条件が揃ってから行われました。逆に言えば、経済的基盤がない人間は、なかなか結婚が出来なかったと言うことです。 たとえば、近世において、早婚なのは貴族や上層市民の子弟、晩婚なのは下層民の子弟でした。そのため、親方になれない職人