岸田文雄政権が、表現の自由など基本的人権を脅かす刑法改定の準備を進めています。侮辱罪の刑罰強化です。政治家や公務員を批判する国民の言動が「侮辱罪にあたる」として処罰されかねない重大な動きです。 歯止めの規定や条文なく 厳罰化議論の発端は、会員制交流サイト(SNS)などで激しい誹謗(ひぼう)中傷の投稿にさらされた女子プロレスラーの木村花さんが自死に追い込まれた痛ましい事件でした。投稿者は侮辱罪に問われたものの、科料9000円のみで、遺族からも「軽すぎる」と批判が上がっていました。 ネット上などでの侮辱行為が許されないのは当然です。とくにネット社会の広がりを背景に、オンライン上で個人攻撃が拡大しているもとで、その対策は急務です。 しかし、侮辱罪の厳罰化は、犯罪を抑止する以上に、社会を萎縮させる危険があります。 法制審議会が法相に答申(10月21日)した厳罰化案では、現行の「拘留(30日未満)又