約30年前、ソ連・東欧の社会主義政治体制は崩壊した。議会制=ソヴェト制の外観の下、一党制またはヘゲモニー政党制を採用していた国々は、複数政党制を前提とする新しい政治体制への転換を迫られた。その結果、エストニア、ラトヴィア、ハンガリー、アルメニア、アルバニア計5カ国が議会制を採用し、26の旧社会主義国が「準大統領制」と呼ばれる体制を採用している。 アメリカの大統領制や、ドイツのような議会大統領制とは違う、この「準大統領制」とは何だろうか? 著者によれば、準大統領制には①高度大統領制化準大統領制、②大統領議会制、③首相大統領制の3類型がある。これらの準大統領制のどれを選択するかは、その国の政治のあり方を生き生きと反映したものであり、体制の変化から当該国の政治の動態を分析することができる。 ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの5カ国を題材に、脱共産主義の国の政治をケースス