記事:筑摩書房 『ブラッドランド──ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上・下巻(ティモシー・スナイダー 著 布施由紀子 翻訳、筑摩書房) 書籍情報はこちら ドイツとソ連の大量殺人政策が重複 20世紀の半ば、人類史上最大の集団暴力が、ポーランドからウクライナ、ベラルーシ、バルト三国、ロシア西部にまたがる広大な地域を襲った。スターリンとヒトラーが同時に政権を握っていた1933年から45年までの12年間、この地で独ソ両国の大量殺人政策が重複して進められたのだ。スターリンとヒトラーは自分の思い描く国造りのため、邪魔者を排除しようとして、この地域に住むおびただしい数の民間人を殺害した。 東欧史を専門とするイェール大学のティモシー・スナイダー教授はこの事実に着目し、この地域を“流血地帯(ブラッドランド)”と名付けて調査に乗り出した。数年がかりで東欧諸国の公文書館をまわって膨大な資料にあたり、国境で分