前章までは、古代船の造船技術である「シェル・ベース・コンストラクション (Shell-based construction) 」によって造られた船を見てきました。船の外板を最初に組み立てるこの造船方法が産まれたのは、これらの船の祖先が丸木舟 (Dugout canoe) や筏であったからだと考えられています。丸木舟や筏では、積み荷や漕ぎ手の数を増やしたいときに、丸木舟の側面に板を足して船体を大きくしていきました。そして足した横板と丸木舟本体のつなぎ目を補強するためにフレームが添えられ始めました。このようにして人類の造船史が始まったために、私たちの祖先は外板を先に組み立てるシェル・ベース・コンストラクションに対して疑いを持たなかったのです。 やがて文明が起こり、より複雑な船が造られていきました。その経験の中で、効率の低いモーティス・アンド・テノン接合が簡略化(洗練)されていき、それに伴いフレ