第73期将棋名人戦七番勝負は、羽生善治(はぶよしはる)名人(44)が4勝1敗で制し、防衛を果たした。現役最多、歴代でも単独3位となる通算9期目の名人獲得。挑戦者・行方尚史(なめかたひさし)八段(41)との激戦を振り返り、伝統ある名人戦を戦うことの意義について語った。 ――歴代単独3位、通算9期目の名人位獲得です 名人戦は、一局にしてもシリーズ全体にしても長丁場。頑張りすぎても持続するのは難しいので、極力自然体で臨もうと思っていました。第2局以降は内容的にずっと押されていました。防衛できて本当に幸運だったなあと思います。 ――第1局は名人戦史上最短手数となる60手での決着でした お互いに急戦調の矢倉になりました。39手目▲6八飛(図1)が印象深い手。「玉飛接近すべからず」という将棋のセオリーには反していますが、行方さんは6、7筋で厚みを築いて良くしようと非常に積極的。意気込みを感じました。