今年7月29日に「セクハラ事件と内部統制構築義務(コンプライアンスの視点)」なるエントリーをアップしておりますが、そこでは会社自身による職場環境配慮義務に焦点を宛てて検討したものでありました。前回は大学内の問題でもありましたし、また漠然と組織自身の債務不履行に関する問題でしたが、このたびの裁判例は、もうすこし企業経営者にとって深刻な問題なのかもしれません。 知的障害者の女性に対するセクハラ事件につきまして、大阪地裁は平成21年10月16日、セクハラ行為に及んだ男性だけでなく、当事者らが勤務する会社に対しても不法行為責任を認めたようであります(裁判所のHPより)。もちろん、これまでもいわゆる「二次セクハラ」として加害者男性だけでなく、その男性の勤務する会社が民法715条(使用者責任)または職場環境配慮義務違反(債務不履行責任)として、加害者男性と連帯して損害賠償責任が認容されたケースは多いと