立川駅北口の雑踏を抜けると、古ぼけたピンク色のビルの屋上に「DAIICHI」と大書きされた看板が見えた。一九六六年、立川の大規模商業施設のさきがけの一つとして開店した「第一デパート」は、消費不況のいまも、健在だった。 ただ、品ぞろえは昔とまるで違う。通路沿いに並ぶショーケースには無数のフィギュア。コミックや軍事関連中心の書店もある。東大和市の会社員本多裕幸さん(39)は「趣味の鉄道模型や雑誌を買うのに一度で済む」と、常連になっている。 タンクローリーの爆発で炎上した線路沿いの商店街跡地に誕生した。地元商店以外に、銀座などの有名ファッション店も入った。「都心に行かなくても、流行の商品が買える」とにぎわったが、伊勢丹の新築や高島屋、駅ビル・ウィル(現ルミネ)の開業などで、八〇年代ごろからは、存在感は低下するばかりだった。それが、九〇年代、一軒の玩具店がフィギュアを発売したら、続々と若者が集まり