本の装丁が気になるような書物好きの間で、ひそかに話題になっている雑誌がある。「デザインのひきだし」(グラフィック社刊、税別2千円)だ。 編集部いわく「プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌」。デザイン関係のプロ向けに2007年、創刊された。年3回発行されているが、マニアックな特集と深い取材が目をひく。 最新号の巻頭特集は「表面加工AtoZ」。キラキラ・ツルツルから、つや消し・しっとりまで、紙の表面にニスを塗ったり、フィルムを貼ったり、といった特殊加工法を紹介している。江戸時代の錦絵製作でも表面加工が施されていたことなど、うんちく満載の読み物も充実している。 驚かされるのは、「写真と説明だけでは質感が伝えられないから」と実物見本をとじ込んでいること。おかげで仕上がりの違い、技術の精緻(せいち)さは素人にも一目瞭然だ。 過去にもインキや紙の特集など、狭く深い企画が目白押し。