シルクハットを被ったタキシード姿の男が、スポットライトを浴びながら小気味良くステップを決めて大喝采……タップダンスには「エンターテイメントショー」といったイメージがいまだに強い。しかし、タップダンサー・熊谷和徳の目には、エンターテイメントだけにとどまらない、タップダンスの可能性が映しだされている。 アフリカで生み出されたとされるタップダンスは、黒人奴隷たちの怒りや悲しみをリズムに乗せ、足音で踏みならすためのエモーショナルな表現方法だったと言われるが、熊谷はそんなルーツを強く意識しつつ、さらなる未来を見る。タップの本場、ニューヨーク・ブロードウェイで修行を積み、黒人の歴史とタップの文化を伝える作品『NOISE / FUNK』のオーディションに合格。さらにアメリカ『ダンスマガジン』誌において「観るべきダンサー25人」に選出されるなど、現地コミュニティーの中でも実績をあげてきた熊谷。本物のタップ