1960年代に花開いたプレートテクトニクスは地球科学の〈革命〉であった。しかし,革命であるがゆえに,多くの抵抗や反感や無視があった。とくに,この革命が地球物理学者が主導して行われたものだから,地質学者には抵抗が強かった。世の中では地球物理学と地質学は同じようなものだと考えている人も多いにちがいないが,じつは,かなり違うものだ。つまり,地質学者こそが地球の歴史を扱ってきたはずで,地球の〈現状〉しか分からないはずだった地球物理学者が地球の歴史を組み立ててしまったという,いわば縄張りを荒らされて顔が立たなくなってしまった反感もあった。この本の著者,ケネス・シュー(許靖華)氏も翻訳者の高柳洋吉氏も地質学者であり,ちなみに私は地球物理学者である。 この本は深海掘削計画(DSDP)と言われる,特殊な掘削船で海底に孔をあけて試料を採ってくる計画の立ち上がりから終了までの15年間(1968~1983)のハ