労働節約的な技術進歩は、労働者から仕事を取り上げることになって、労働者にとっては望ましくないと信じる人々がいる。「ラッダイト運動の誤謬」と呼ばれるもので、経済学の長い伝統の中でも、これは最大級の愚かな主張の一つである。・・・ もともと「ラッダイト運動」とは、1811年、イギリスのノッティンガムで靴下やレース編み製造に携わっていた労働者たちの起こした運動である。彼らは、失職への抗議として、労働節約型の新型機械を破壊し、「キング・ラッド」(King Ludd.)という風変わりな署名をした回状をつくって自分たちの行動を公にした。機械を破壊すれば、靴下をつくる労働者たちの利益を守れると考えたのである。彼らの技能は古い技術に対応したものなので、新技術にはマッチできないものだとわかっていたのである。イギリス政府は、入念に調査し、1813年、ラッダイトの心配を鎮めるために、14台の機械を破壊した。 その