事故発生直後は、私はプリンストン大学関係の核物理の専門家の人々とディスカッションを続けながら、アメリカでの見方をこの欄を中心にレポートしてきました。その後は、一旦事態を静観していました。ですが、ようやく「工程表の第1ステップ」が確認できる状況に近づいたという発表も出たこの時期、改めて未解決の疑問点についてお話ししたいと思います。 何よりも、日本のエネルギー政策や、原子力技術の輸出の継続など、大きな方向性の決定を行うためには、今回の事故の原因と経過について、客観的な評価を確定することは極めて重要ということもあります。 いまだに気になるのは「ベント」の問題です。ベントはどうあるべきで、実際はどのようにされたのか、あるいはされなかったのか? 水素爆発時の放射性物質飛散がたいへんに広い範囲に及んでおり、様々な被害が議論されるようになった現時点で、改めてこの問題は重みを持ってきています。 この問題に