われわれのインフラ認識 国土のうえに道路を整備したり河川を改修したりする行為は、公共事業とか公共投資とか言われるが、わが国では近年その効用が説かれるよりは、無駄だとか財政悪化の原因だとか、根拠や証明のない議論が行われてきた。 公共事業が予算用語であるように、この言葉が表現できるのは、「今年は金額的にいくら事業をするのか、今年は何㎞整備できるのか」とか「今年は昨年より何%増えたのか、減ったのか」という経済的なフロー効果のことでしかない。 もちろんフロー効果としても乗数効果とか生産誘発効果をもたらし、経済を活発化させGDPを増大させて、税収増を図ることができるのだから大いに意味があるものだ。しかし、公共事業の本来の目的はこのようなフロー効果の発現を求めるものではない。 各年のフローの積分がストックとなって効用を発揮することを期待しているのである。河川の堤防を例にとると、一定の規格で上流から下流