私は、オウム真理教の問題は日本社会の腐敗と崩壊を示す1つの兆候に過ぎないと考えている。人はオウム真理教の信者に優秀な若者が多いことに驚くが、私にとってそれは驚きでもなんでもない。人間は誰もが、若者ならばなおさらのこと、道徳的、精神的な拠り所を求めるものだからである。将来への希望、社会の公平さに対する信念、そして行動規範となる価値観、指導者への信頼感を必要としている。私は日本の歴史に詳しくはないが、これまで日本にはそんな希望や信念、価値観、信頼感が存在していたと思う。少なくとも私が日本に移住してきた25年前には、確かにこのような心の拠り所となるものがあったようだ。しかし今はどうか。 私が日本に来た1969年には、日本という国家、その国民および企業には使命があった。その使命とは戦後の復興に励み、豊かな米国に追いつくことであった。そして誰もが自国の明確な目標を理解し、その目標達成のために果たす自