ドナルド・キーン著『日本人の戦争ー作家の日記を読むー』 ドナルド・キーン『日本人の戦争ー作家の日記を読むー』から最終の四回目。 先に、「あとがき」から、永井荷風の日記のことについてキーンの説明を引用したい。 永井荷風の日記は戦後になって書き直した、殊に軍閥への憎悪や占領軍に対する好意を強調した、という意見が、かなり前から広く言われて来ました。しかし、どの点が書き直されたか証明できる訳ではありません。とは言え東都書房刊の「永井荷風日記」と、岩波書店から発行された「断腸亭日乗」は確かに相当違います。荷風自身か、荷風の名誉を重んじる編集者が、元の日記にかなり手を加えたに違いありません。 例えば、昭和二十年九月二十八日の記載ですが、東都書房の本ではこうなっています。 昨朝陛下徴服長徴行して赤坂霊南坂下なる米軍の本営に馬氏元帥を訪はせ給へりと云。 一方、「断腸亭日乗」では、こう書かれています。 昨朝
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