12月18日、性的暴行を受けたとして元TBS記者を訴えた民事裁判での勝訴を受け、東京地裁前で支持者らに報告をする伊藤詩織さん(写真:AP/アフロ) 暮れも押し詰まった12月18日の昼過ぎ、私のスマホが立て続けに、「ピンポピンポン、ピンポピンポン♬」と鳴り出した。これは、「中国版LINE」こと、「微信」(WeChat)の着信音である。相手はいずれも、海の向こうの中国のメディア関係者だった。 彼らの要件はすべて同じである。それは、「『黒箱』問題の判決についてどう思うか?」というものだった。 中国でベストセラーになった詩織さんの著書 「黒箱」とは、「ブラックボックス」を中国語に訳した言葉だ。そう、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、2017年10月に文藝春秋から出版した本のタイトルだ。 この日、東京地裁で出た民事訴訟の一審判決——「加害者である山口敬之元TBSワシントン支局長に、被害者である伊藤詩織氏