戦国武将が着飾った甲冑(かっちゅう)の最大生産地が、戦国時代では存在感の薄い奈良だったとみられることが25日、元奈良県立美術館長の宮崎隆旨(たかし)さん(67)の研究で明らかになった。シェアだけでなく品質も他産地を圧倒していたとみられ、需要がピークだった慶長年間(1596~1615年)には、奈良に約440人の甲冑師がいたと推計。奈良産の甲冑が全国的なトップブランドだった可能性が高いという。 甲冑には製造場所が記されず、産業としての研究は進んでいなかったが、宮崎さんは生産地側の文献史料を集め、時代や地域ごとに甲冑師の概数を比較した。 その結果、室町後期から戦国時代を経て江戸中期にかけ、奈良は全国最大の生産地で、ピーク時には約440人の甲冑師が存在し、京都、大阪、江戸がこれに続くことが判明した。 甲冑の一部には作者の銘が印刻されており、海外も含めた各地の甲冑の銘を解読した結果、奈良が群を抜いて