70年代でもっとも有名なテレビドラマ『俺たちの旅』の再放送を見ていて、ひとつ気になるシーンがあった。なんと、主人公たちがごちそうを食べそこねて、文句を言いながら街のそば屋で大盛りの盛りそばを食べていたのであった!しかも上の口では文句を言いつつも、同じく上の口でおいしそうに食べており、ぼくは激しい嫉妬に身を焦がした。 ―などと書くと、この筆者の頭は大丈夫なのかと思われてしまうかもしれないので、なぜ嫉妬に身を焦がしたのかについて、くわしく説明させていただきたい。 いま、「若者が大盛りを食べる」といえば、牛丼・ラーメン・カレーあたりだろう。そばは、江戸時代から戦前までは大盛りの主役だったかもしれないが、いまでは少し高級な、少ししか出てこないイメージ。立ち食いそばというジャンルはあるけれども、立ち食いそばと立ち食わないそばの間には大きな隔たりがあり、後者には高級な、通にしかわからない食べ物というイ
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