米民主党の大統領候補指名を受けて、オバマ上院議員が28日行った受諾演説は、95%の勤労者世帯をカバーする減税実施を掲げるなど、米国経済が低迷するなかで、中低所得層の支持獲得を強く意識する内容となった。 冒頭でオバマ氏が描いたブッシュ政権末期の国民生活は、中西部の工業地帯で産業不況にあえぐ労働者の灰色の光景だ。その責任の大半を共和党の「失政8年」に帰し、同党の大統領候補となるマケイン上院議員に論戦を挑む、というのが演説の主眼といえる。 オバマ氏の支持層が都市部のインテリに偏り、地方の労働者層に支持が浸透しない現状をみるなら、中低所得者に訴える演説は、それなりに的確な判断ともいえよう。 「米国の約束」と題した演説は、リベラル色が濃厚なオバマ氏の政治理念を反映した内容といえる。外交・安保分野では、軍事力を背景とした一国主義を否定して、イランなど反米国家をも含めた対話や多国間の協調を重視するととも