生物は豊富にあるケイ素を利用しない。このたび、ケイ素と化学結合を形成して体内の生化学経路に取り込むことのできる酵素が見いだされた。さらに、ほんの数カ所の変異を加えたところ、人工触媒をしのぐ効率でケイ素–炭素結合を形成した。 ケイ素と炭素の間に化学結合を形成できる酵素が、アイスランドの温泉(有名なブルーラグーンを含む)に生息する細菌から発見された。 Credit: Arctic-Images/The Image Bank/Getty ケイ素は、至る所に存在し、地殻中の存在度が酸素の次に高い元素である。それにもかかわらず、生体内の生化学過程になぜ取り込まれないのか分かっていない。 だが今回、生物は機会を与えられれば、ケイ素と炭素の間に化学結合を形成できることが見いだされた。カリフォルニア工科大学(米国パサデナ)の化学エンジニアFrances Arnoldらは、温泉に生息するある細菌から得た天然