はるかなる未来――。「特種楽器」の技芸士トロムボノクは、特異体質の美少年シェリュバンと一緒に宇宙を旅している。2人は老商人に誘われ、ある惑星へ。そこでは、およそ70万個の鐘を1千人の奏者が鳴らす巨大なカリヨン(組み鐘)が「埋蔵楽器」として眠り、首都の開府500年を記念して、今しも打ち鳴らされようとしていた……。 ――『零號琴』の構想は初めての長編『グラン・ヴァカンス』(2002年)の刊行前からあったそうですね。いつごろからだったのでしょうか。 正確な時期は覚えていないです。すでに消えてしまった高度な文明があって、それがあちこちの星に楽器をたくさん残していて。ぼんやりとしたイメージでは、建物大の変な楽器がたくさんある。パイプオルガンみたいなものとか、いろんな変な音が出るものがたくさんあり、それを修理して回る主人公と、お話をかき乱す相棒がいて……みたいな感じになれば楽しいだろうなという、その程
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