規制が強く閉鎖的な経済は、市場の内側にいる既得権者と市場の外にいる弱者を隔て、格差を広げる。正社員と非正規社員の二極化が進む日本の労働市場がその典型だ。改革には正社員の解雇規制の緩和が有効である。だが、日本社会はいっこうに受け入れようとしない。一体、なぜだろうか。『競争と公平感―市場経済の本当のメリット』(中公新書)で、解雇規制緩和論を展開する大竹文雄・大阪大学教授に聞いた。 ―前回に続いて、「日本人はなぜ、市場主義経済が嫌いなのか」という質問を続けます。市場主義を批判する人々の多くは、「官から民へ」というスローガンを掲げて規制改革を促進し、市場競争を促した小泉政権を敵視しています。日本人を市場主義嫌いにするどのような失策を、小泉政権は犯したのでしょうか。 大竹文雄 (おおたけふみお) 1961年、京都府生まれ。83年、京都大学経済学部卒業。85年、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修
