苦痛緩和を目的とした鎮静、その鎮静を開始する要件と話し合われるべき事柄、そしてリスクの説明をした上での治療でした。睡眠薬であるドルミカムを少量から注射で持続投与しました。注射を始めても正直あまり効いていないなというのが実感でした。奥様は目をつむってはいますが、やはり汗はびっしょりで呼吸も速くそして力がなくなりつつあるのが分かります。息も小さくなってきました。これ以上薬を増やすのは危険だと思い、そのままの状態で見守りました。そして、治療を始めて半日後の翌朝にご主人が見守る中、静かに息をひきとられました。その死に顔は穏やかでした。 そして、幾日かが過ぎました。ホスピスでは、患者さんが亡くなっても残された家族の方々のケアを大切に考えています。奥様が亡くなって1ヶ月が過ぎた頃に、担当していた看護師がお悔やみのハガキを書きました。そのハガキをきっかけに、ご主人がホスピスへやってきました。そして、入院