頼るものなく生きていると、諸悪の根源を意志に求めるようになる。自分は意志が弱いから何もできないのだ、そして意志があれば何でもできるのだと思うようになる。前向きに、進歩的に生きるには、意志こそが一番大事なのだと思うようになる。ところが、意志は往々にして無力である。どのような強い意志を持ってしても、僅か24時間という短い時間ですら、眠り続ける事は不可能である。自らの意志を攻撃する人は、そのような論理で動いている。達成可能な目標ではなく、達成不可能な目標を選り好んで選択し、当然ながらし損じる。千載一遇の好機とばかりに自らを攻撃する。自らの意志を攻撃する。意志のせいだ。意志が足りないせいだ。 意志バッシングへと通じる道には、幾つかの経路がある。その中で最も巨大な経路は、達成可能な目標の喪失だろう。人間は10分起きているだけで、無数の目標を手に入れる。顔を洗おう。歯を磨こう。着替えよう。鼻歌を歌おう