同じ岡山県の出身。出会って二回目にプロポーズされて結婚した。大きな声でよく笑い、明るく物知りで、とにかく優しかった。コンサートでも落語でもチケットを必ず二枚買うので、毎週末、連れ回され、気付くと、私も落語も美術館も大好きに。楽しむ夫を見ているのが幸せで、よく笑われるが、趣味は「赤木俊夫」だった。 彼の顔から笑顔が消えたのは、一七年二月二十六日、佐川宣寿(のぶひさ)元理財局長らの指示で近畿財務局職員が大量に日曜日に呼び出され、上司に改ざんを命じられた日から。直後の旅行では、よく笑う夫が全く笑わなくなった。