10月下旬、日本福祉大(愛知県美浜町)のオンライン授業で、学生約120人に語りかける女性の姿があった。2012年、職場でのいじめやパワーハラスメントで娘を失った伊佐間佳子さん(58)=名古屋市北区。原稿を持つ手は震え、涙ぐみながらもはっきりとした口調で思いを伝える。「自分の命を削ってまで働き続けてはだめ。命より大切なものはないんだから」 伊佐間さんの長女、綾奈さんは高校卒業後の09年、名古屋市内の青果物仲卸会社に入社した。少し引っ込み思案なところもあるが、負けん気が強く、頑張り屋だった。裁判資料によると、11年秋ごろから、先輩の女性社員2人に威圧的な言葉で叱責(しっせき)されるなどの嫌がらせを繰り返し受けるようになった。 心身ともに疲弊し、うつ状態だった綾奈さんは12年6月、自宅で先輩社員から電話連絡を受けた後、伊佐間さんに背を向け、声も出さずに泣いていたという。会社での嫌がらせの相談を受
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